━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第14号 99.9.25-99.10.1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。HP更新情報、マンガ製作日誌、人文系書籍の情報、身辺雑記などです。
____________________________________

■今週の主な内容
京極謎本の斎藤環/下村誠の新たな世界/鹿踊りと浅野のロケ/松居桃樓じいさ
んと「風のトポス」

■99.9.25
京極堂の新刊『巷説百物語』(角川)が出てますが、その隣に『京極夏彦の世界
』(青弓社)っていうありがちなタイトルの京極本があり、なにげに手にとった
ら、なんとこの走り書きでは常連(で登場いただいている)の斎藤環さんが書い
てるじゃーないですか(数人の評者によるアンソロジーで、京極本の野崎六助さ
んも書いてます)。
参考)野崎さんの京極本については
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas23.html#0118

斉藤さんの担当は、『狂骨の夢』を精神分析の観点から分析するというもので、
まさに「待ってました!」という感じ。『狂骨〜』は、ネタのど真ん中に精神分
析をど〜んと持ってきてますから、これって専門家から見たらどーなのだ?とい
うのはすごく気になるところだったが、それを「あの」斎藤さんがやってくれる
とは、二重のヨロコビです…。というものの実ハ、私、この『狂骨〜』、京極作
品の中でもワーストというか、面白くなくて、ほとんど寝て読んだという記憶し
かないのだ。精神分析とか夢がああいうふうに絡んでたなぁというのは憶えてる
けど。だから京極の内容はすっ飛ばして、むしろ斎藤さんの「精神分析的パラダ
イムとミステリー」論?といったところが、非常に面白かった。この論での「ト
ラウマ」に関するところは、私で言えば、この前書いた『孔雀』についての「癒
し」を巡るところにもちょっと関わると思う。つまり「トラウマ―癒し」という
シェーマをいかに乗り越えるか…という問題です。
参考)『孔雀』について
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas31.html#0924

あと全然関係ないけど、この斎藤さんの文章全体が、架空対談の形式をとってい
て、面白かった(中井久夫の『昭和を送る』ですか?)。このアンソロジーには
フェミニズム関係から京極を読むというのも入っていて、それも面白そう。

対談といえば、養老孟司さんと甲野善紀さんの『自分の頭と身体で考える』(P
HP)って対談も出てました。このコンビは以前、カッパサイエンスという新書
でも対談してたと思うけど…。養老さんの「脳/身体」というシェーマ(図式)
については、「バーチャル伊丹堂」に「小脳論」著者のジャコウネズミさんとの
対話が載ってます。
参考)「バーチャル伊丹堂」
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/index.html

追記:ついこの前、明石先生と高橋さんの『日本史鑑定』についてふれたと思っ
たら、偶然にもその続編?『日本「宗教」鑑定』というのが出てました(いずれ
も徳間書店)。今回は同じく対談でも、明石先生と池口恵観さんという密教僧の
人で、高橋さんは関係してないのだった。ちらっと読んだところでは、明石先生
かなりこの密教の人に入れ込んでるみたい…。

■99.9.26
下村誠のライブ行ってきました!
凄い!

この前、浅野の映画(『孔雀』)にメロメロと書いたけど、またもや同じように
凄いモノにであっちゃったってくらいショックでした。まー、今回は前々からこ
こでもお知らせしているカヴァーアルバム『Bound for Glory』
の発売記念ってこともあって、あまり期待してないというわけじゃないけど、一
応「知ってる」世界を、ライブでゆったりと聞かしてもらおうかな…などという
ジジイじみたことを考えて行ったのでしたが、もー、いい意味でその期待を裏切
ってくれました。

というのは今年の暮れ(〜来年はじめ)に発売されるソロアルバム(タイトルは
『NAKID SOUL』)から何曲か演ってくれたんだけど、これが凄い、特
に『壊れもの』という曲(?詳細については知らない)は、圧巻で、僕の中では
やはりすべての音楽的経験を更新した…ってぐらい凄かった。たった数日のうち
にこんなコトが起こり続けていいもんかいな(いいのだ)。

ちょうど浅野の映画について、「癒し」ということを巡って書いたけど、そのこ
とが、ほんとうにこの曲にも(こそ)当てはまる、という感じ。つまり「傷―癒
し」という図式から、ポーンと飛び出したところにこの歌はあって、ほんとうに
深いところから「癒し」という共振を送り出してくる…って感じなんです。これ
はどんなロックアーティストも、作品それ自体においては出来なかったことじゃ
ないのかな。

とにもかくにも、この次のソロアルバムはぜひ聴いて欲しいわけです。で、その
前に今回のカヴァーアルバムや傑作『ホリー・バーバリアンズ』も聴いていただ
くとなおいいです(私は下村さんのまわし者じゃないですけど)。私の下村論は
ウェブマガジンに書いてますが、もうこの論で書いた段階は終わっていて、新し
い下村誠がはじまりつつあるのかも知れない。ちなみに私の知る限り最高の下村
誠「論」は、G・U創刊号に掲載された村田博さんの「プリミティヴ・サヴァイ
ヴァー」という文章なんだけど(2番目が私の…笑)、その中で村田さんは当時
の現時点での新曲であった『最後の声』(アイタルの『LIVE1995』に収
録)を聴いて「ソングライターとして下村さんがワンクールしたのを感じてしま
った」と、書いてます。逆に言えば、すでにして下村誠の「新たな始まり」の予
兆を見据えていたといってもいいですよね。鋭いなぁ…。

参考)
下村誠HP
http://page.freett.com/nattyrec/index.html
私の下村論
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas21.html#works
村田博の下村論が掲載された「G・U」バックナンバーのご案内
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GU/Aveindex.html#g-u1

追記:それにしてもこういうことがあると、つくづく「G・U」という雑誌をつ
くってヨカッタなぁ…、と思います。たま〜に山のような在庫を見て、うんざり
することもあるけど(笑)。その「G・U」共同発行人、鈴木たかしさんのHP
「G・Uアベニューでまちあわせ」で、鈴木さんも下村ライブの感想を書いてま
す(会場でいっしょなのでした)。奇しくも「癒し」という言葉がキーワードと
して出てきます! ぜひご覧下さい。
「G・Uアベニューでまちあわせ」
http://www1.webnik.ne.jp/~g-u/index.html

■99.9.27
メールマガジンのバックナンバーをHTML化しました。リンクページのジャン
プが可能になったのと、(Macでは)行間があいて読みやすくなってます。実
ハ、サービスというより自分が前の文章を参照するときに使いやすいよーに、と
いう意図でやったのです(すいません…)。もちろんメルマガ自体は、素(ス)
のテキストのままで、悪名高きHTMLメールにはしてませんので、ご安心下さ
い。ついでにヘッドラインのロゴもかっこよくなりました…。

さらに、どーでもいい話ですが、これまでの「オンラインマガジン」という表記
を「ウェブマガジン」に変えてます。これは「メルマガ」に対して「オンライン
…」というより、「ウェブ…」と言った方が(つまりメール/ウェブという対比
の方が)分かりやすいだろう、ということですね。「オンライン…」と言っちゃ
うとメールだって一応オンラインだろーって感じがしますので。
ヘッドライン バックナンバーは、
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/HEAD/head.html

■別ひの「ワシもヒットで…」に「モーニング娘。」を追加!
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/BETSU/betsu2.html

■99.9.28
前に紹介した民俗芸能「鹿踊り」でサーチエンジンで調べてたら、「えさし達人
の郷」というHPを発見。なんと「鹿踊り」をリアルプレーヤーの映像(ムービ
ー)で見られます(約30秒)。ウェブマガジン31号の民俗芸能リンク集にも
追加しておきました。
「えさし達人の郷」
http://www.esashi-iwate.gr.jp/index.html
民俗芸能リンク集
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas31.html#minzoku

ちなみにこのHPでは「えさし藤原の郷」という映画のロケなんかによく使うイ
ベント会場(いちおうここらの観光名所なのです)の情報がのってるんだけど、
現在ロケ中の映画になんとあの「浅野忠信」が…!
関係ないけど、ちなみにその映画は、

「五条霊戦記」(2001年 初春 公開予定)
  中世の闇を舞台に弁慶と義経の宿命の決闘を描くサイバーアクション時代
  活劇。
  監督・脚本/石井聰互
  出演/隆大介(武蔵坊弁慶)浅野忠信(遮那王=源義経)永瀬正敏(鉄吉)

…うそーっっ、見たい、見たすぎる、スターウォーズより見てぇ(マジ)…。

■99.9.29―30
先週の「アンビリバボー」(フジTV)で、「蟻の街のマリア」ってのをやって
て、蟻の街の話ってのは知ってる人は知ってると思うけど、下町で廃品回収して
いる人たちの街があって、そこにあるお嬢様がやってきて、いっしょに作業をし
たり、子ども達に勉強や歌を教えて、希望の光となったという一種の美談なんだ
けど、これを世に紹介したのが、松居桃樓っていうジイさんなのね。私はあまり
蟻の街の話は知らないのだけど、たまたまこの松居というジイさんの本を読んで
非常に感動したというか、目からウロコな体験をしたのだった。その本は直接、
蟻の街をテーマにしたものではなく、『消えたイスラエル十部族』『黙示録の秘
密』(いずれも柏樹社)というもので、なんじゃそれ?!と言われかねない類の
タイトルなんだけど(笑)、これがもうタイトルからは想像できないくらい「深
い」思想的な内容をもった本なんですよ。

ようするに「魂」というか「霊」というか、精神的な次元の存在をどう考えるか
?あるいは、そういう次元のことを考えることなしに、いかに生きるか?という
こともありえないのだ、というメッセージだった気もする。前に「私をインスパ
イアしたもの」というのを書いてその中に松居のジイさんの本は入ってないんだ
けど、これは僕の中では山口さんの『生命のメタフィジック』と同じ位置を占め
ているという感じです。ちょうど読んだ時期もほぼ同じでした…(ちなみに『オ
ムレット』で、僕は「霊」を否定しているかのごとくに描いてますが、「認識論
」の枠組みに「霊」的なものを入れるとおかしくなる、と言っているにすぎない
わけです。ここらへんは重要なことなので、こんなふうにカンタンに言ってはい
けないのかもしれませんが…)。
参考)私をインスパイアしたもの
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/navi1998a.html#1001

そんなわけで「アンビリバボー」を見て、非常に懐かしくなり、またぞろ『消え
たイスラエル十部族』『黙示録の秘密』を本棚から引っぱり出して読んだのです
が、やはりスゴイ、というか、ぜんぜん色あせてない。この二冊はどちらも「桃
樓じいさん大法螺説法!」という副題がついてるシリーズで、登場人物として描
かれる松居のジイさんが(いずれも松居桃樓/述、となっていて、実際の著者は
田所静枝さんという方)、「これはじいさんの大法螺じゃが…」と自分で断って
いろいろないわゆる歴史ミステリーを推理していくんだけど、その推理の背後に
そういう精神的=霊的な思考があって、それが事実として「法螺」かどーかはど
うでもいい、というようなカタチになっている。そこで語られてるコトのリアル
さは、まぎれもないからだ。ようするにそこでは一人一人の実存?が問題になっ
ていると言ってもいい。

というわけで、松居のジイさんについて再び興味が湧いてきたものだから、例の
ごとくサーチエンジンで探してみたわけです。…そして見つけたのが、松居氏、
すでに96年ころに亡くなられたとのこと。驚きとともに、お歳を考えれば(正
確には知らないけど…)それもそうだろう、と納得できるところもある(そう知
ってから振り返ってみれば、今回読み返した『消えたイスラエル十部族』には、
妙に「死の影」のようなものが感じられた)。いずれにしても、お会いできなか
った残念さと、感謝の気持ちでいっぱいになった。ご冥福を…というコトバがこ
の方に似合うのかどうかわからないけれど、これからも記憶の中の存在として、
私たちを励ましてほしい。

松居のジイさんの記憶がよみがえっただけでも、僕にとっては収穫だったが、さ
らに収穫はこの「情報」を教えてくれた「風のトポス〜神秘学遊戯団」というH
Pを見つけたってことですね。ここは、作者のKAZEさんが、シュタイナーの
思想を中心に、神秘学・思想・哲学・宗教・芸術などに総合的にアプローチして
いるサイト。松居のジイさんについては、書評のコーナーでとりあげています(
「風の本棚14」)。この書評はほんとによく松居のジイさんのことを捉えてい
て、初めて接する人にも分かりやすいので、ぜひご覧下さい。また、この書評が
ここのサイト全体を象徴している感じもするけど、まさにKAZEさんは、「神
秘学」を追求しつつ、決して安直な「宗教」にはならない真摯な思考を展開して
るって感じ。これからも参考にさせていただたいと思います。
「風のトポス〜神秘学遊戯団」
http://www.bekkoame.ne.jp/~topos/index.html

追記:じいさん、で思い出したのが(というかぜんぜん関係ない話ですが)、こ
んどの下村誠さんの新曲に「♪かっこいいジイさんになろう〜」って歌があるん
だけど(例によって詳細は不明)、なんとワシの旧作『黄昏マデ二万マイル』の
表紙キャッチコピーが「ジジイの方がカッコイイ、早くジジイになりたい!」と
いうものなのだ!(マンガのコーナーで見れます。このコピー自体は、モーニン
グ編集部の作)ってわけで、この偶然の一致に「仲間〜!」とか勝手に思っちゃ
いました。このマンガの主役が「伊丹堂」の原型なのです。
『黄昏マデ二万マイル』
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi4.html#h02

■99.10.1
いろいろと新しい本、しかも興味深い本がたくさん出てますが、長くなりそうな
ので、また次週以降にちょこちょこと紹介していきたいと思います。

____________________________________

■お知らせ
『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
は「心とは何か?」をテーマにした「思考する」マンガです。オムレットの詳し
い内容はこちらに掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 1999
 ご意見・ご感想等:info@hirumas.com
 登録の変更・解除:http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/
 配信:Pubzine http://www.pubzine.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ HIRUMAS HEADLINE
バックナンバー一覧にもどるトップページ(最新情報)にもどる
感想・ご意見をお知らせください。 info@hirumas.com