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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第24号 99.12.19-99.12.27
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。HP更新情報、マンガ製作日誌、人文系書籍の情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
宮崎駿vs井庭崇対談/今年読んだ本ベスト10/大澤真幸「責任論」

■99.12.21
20日の夜、ETVで宮崎駿さんと複雑系研究者の井庭崇さんっていう方の対談
やってて、けっこう面白かった。井庭さんって何者?と思って調べたら、『複雑
系入門』(NTT出版)の著者にして慶応の院生ってこと。
井庭崇(IBAchan's world)
http://www.sfc.keio.ac.jp/~iba/index-j.html

私が面白かったのは、「ジブリ」をネタにして、組織の「モデル」を作り研究す
るとして、それが実際の組織を動かすという点で役に立つかどーかってハナシ。
複雑系研究者としては口が裂けても役に立たないとは言えないハナシだけど、よ
うするに実際の組織運営における苦労人である宮崎さんにしてみれば、それはな
いだろう、というようなハナシだった。まぁ「ジブリ」のような小さくかつ「個
性的な」組織であれば、ほとんどの人はそう思うだろうが、国ぜんたいのような
大きな社会組織を考えれば、やっぱりそういったモデル、シミュレーション的な
研究も役に立つのでは…とも思えるだろう。

複雑系という学問が役に立つかどーかってハナシなら、まあこーいっちゃなんだ
が、どーでもいいハナシだ。しかしこれは、前から問題にしている「文化・社会
システムを質的に変えていくにはどうしたらいいか?」ってことと同型の?問題
だとも言える。つまりモデルによってシミュレーションするがごとくに、システ
ムの「設計図」を書き換えてそれを現実に応用していく、というような手順で現
実のシステムをよりよく改変できるのか、そうではないのか?という問題だ。オ
レとしてはヘッドライン22号でも言ったことの繰り返しなのだけど、「個々人
が自分の生の様式化を行っていくことの積み重ねとしてしか全体は変わらない」
と考えるものだ。そしてついでに言っておけば、そういうふうに個々人が変わっ
ていくにはどうすればいいのか?と言ったら、これはそれぞれが考え得る限り「
良い」文化を創造し、そして伝承していく、ということでしかないでしょう。

そんなことをフト思ったのは、『リトルモア』っていう(知ってる人は知ってる
)雑誌に宮台真司さんと宮崎学さんの対談が載っていて、その中で宮台氏が「権
力が見えなくなっている社会での権力闘争はシステムの設計をめぐるものになる
」というようなことを発言していたからだ。たしかに「システムのあり方」を巡
るところにこそ問題の核心がある、という点ではまったく同感なのだが、それを
「設計」の問題にしちゃったら、ようするに設計する権力をとればいいという新
たな「官僚制」を目指すことになってしまうではないか。たしかにそういうこと
が必要な「政治」的局面は必ずあって、だからこそオレも時々「公権力奪取がダ
イジだ」と口走ったりする。しかしそれを「設計」という、個を無視した言い方
をされると違和感があるわけだ。まー宮台氏はそんなこと百も承知で言ってるん
だろーから、やっぱり天性のアジテーターってことなんだろうね。

宮崎(駿さんの方!)・井庭対談の後半では、奇しくも?「生き方のモード」の
話がでて、宮崎さんは、若者があるモードからモードへと、刹那的に場当たり的
に行動をくるくると変えているだけで、全体のことを考えることがなくなったと
いうような言い方で批判していたが、ウェブマガジンで「生き方のモード」はダ
イジだという主張をした手前、反論しておくと、そりや、それぞれの「モード」
においてその人の突っ込み(没入)が甘い・浅いというだけのことであって「モ
ード」で変わること自体が悪いってわけじゃないだろうってことです。深く・全
体について思考せんとする生き方も、一つのモードであり、問題はそれが実現出
来てるかどーかってことでしょう。これは単にコトバの定義の問題に近いけど(
考え方のキホンそのものは、宮崎さんとあまり離れていないと思えるから)。
参考)生き方のモードについて
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas31.html#1018

それにしても宮崎さんは「引退」ではないようなので、よかった。彼こそ最良の
創造者にして伝承者の一人なのは間違いないのだから。

■99.12.22
「ひるますって文章、ヘタすぎ〜!」というご意見がありましたので(涙)、今
回より「走り書き」は架空対話形式に変更させていただきます(笑)。キャラに
ついての紹介は、オムレットのページをご覧下さい。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html#person

獏迦瀬(ばかせ):いや〜、ひさしぶりに登場できて、うれしいですぅ。
伊丹堂(伊丹堂主人):ばかもの、そんなこと言っとるバアイか。この年の瀬の
 くそ忙しいときに。
獏迦瀬:年の瀬って言えば、今年の十大ニュースとかよくやってますが。
伊丹堂:ウチはいちおう古本屋じゃからな、今年読んだ本ベスト10ってのをや
 ってみるかの。
獏迦瀬:読んだ本ですね。出た本じゃなくて。
伊丹堂:ちゅーこっちゃ。
獏迦瀬:やっぱり『オムレット』、これは外せないでしょう。
伊丹堂:ま、それはいいから、次いこう。
獏迦瀬:ひるますのウェブやメルマガに載った本でいくと、
 竹田青嗣さんの『プラトン入門』、
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas29.html#053
 加藤典洋『日本の無思想』、
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas29.html#0621
 西垣通『こころの情報学』、
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/HEAD/head1.html
 小室直樹『悪の民主主義』、
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas32.html#1119
 あと小谷野敦さんの『もてない男』
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas30.html#0724
 ですねー。
伊丹堂:なるほど、確かにそれは外せんな(笑)。それにしても小室さん以外は
 新書ばっかじゃな。
獏迦瀬:新書の年でしたね。そういえばインターネット元年なんても言われまし
 たけど、まだ本になってないけどネット上ではほとんど本になっちゃってるっ
 てものにもたくさんいいものがありました。『小脳論』とか。
 http://www.asahi-net.or.jp/~ng1f-ist/index.html
伊丹堂:『小脳論』は、このサイトでは『オムレット』に次いで言及率トップじ
 ゃろうな。
獏迦瀬:あとあまりこのサイトではふれてないですが、森岡正博さんの「生命学
 」シリーズがスゴイです。いま執筆が続いてる『無痛文明論』(「仏教」誌に
 掲載)もそうですが、まだ本になってない文章がたくさん再録されていて、参
 考になります。
 http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/index.htm
伊丹堂:こっそり参考にしてるわけじゃな(笑)。ネットといったら、
 于論茶さん(http://www.uroncha.com/index.html
 をはじめとする掲示板やHP、『オムレット』への質問メールなど、イロイロ
 な人にお世話になったわな。この場を借りて礼を言わしてもらおう。ところで
 年末になって急にアイヌ関係が浮上してきたな。
獏迦瀬:夏あたりから民俗学関係にハマってはいたみたいですけどね。柳田もの
 では内田隆三さんの『柳田国男と事件の記録』(ヘッドライン20号でちょっ
 と言及してます)でしょう。これはボクにも柳田論とか民俗学がどーのとはま
 ったく無関係に面白かったですねー。
伊丹堂:推理小説的な面白さじゃな。むかし井沢元彦の小説で柳田が出てくるの
 があったけど、あんな感じで誰か小説にしてくれんかな。
獏迦瀬:アイヌものでは先週紹介したばかりですが『アイヌ、神々と生きる人々
 』(ヘッドライン23号)で決まりでしょうね。あれはこれまでの社会学って
 いうか倫理哲学的な関心と民俗学的な関心がうまくリンクするって感じで、画
 期的だったって、ひるますさんが言ってました。
伊丹堂:そりゃ今後のテーマってことじゃろ。まっ、今年の本としては、そんな
 ところかな。みんなの意見も待っとるぞ。
 
■99.12.24
獏迦瀬:いやー、疲れました。
伊丹堂:なんじゃ忘年会続きでバテたか。
獏迦瀬:何言ってるんですか、大澤真幸さんの「責任論」について話してたんじ
 ゃないですか。
伊丹堂:あれは予想通り長くなったので、ウェブマガジンに移動したぞ。
 大澤真幸「責任論」を読む
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas33.html#1224
獏迦瀬:そうなんですか…。ひょっとしてウェブマガジンの方も僕らがしゃべる
 ことになるんですか。ひるますさんの出る幕がなくなるじゃないですか。
伊丹堂:掲示板くらいには出てくるじゃろ。ま、本人がでないにしてもこの架空
 対話の文責は「ひるます」本人にあるってことは一応言っておくぞ。
獏迦瀬:なんか「責任」のなすりつけあいをしてるみたいですが…。
伊丹堂:気のせいじゃ(笑)。

■99.12.27
獏迦瀬:あ、今回はこれで終わりですか。
伊丹堂:メルマガ配信会社が正月休みに入るんじゃ。ウェブの方の走り書きは、
 まだ続くと思うがな。というわけで、せっかく「架空対話シリーズ」が始まっ
 たばかりでワシも心残りなんじゃが、メルマガ購読者の皆様にはこれでまた来
 年ということになるわけじゃ。
獏迦瀬:そーですか。それでは皆さんに御挨拶しなくちゃ。
伊丹堂:ひるますが自分で言うそーじゃ。

ひるます:貴重な時間をおつきあい頂き、本当に感謝しております。それでは、
 皆さん、良いお年を!
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■お知らせ
『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
は「心とは何か?」をテーマにした「思考する」マンガです。オムレットの詳し
い内容はこちらに掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html

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