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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第33号 00.3.6-00.3.17
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。人文系書籍の情報、社会時評、HP更新情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
臓器移植法改正続報/「大正野郎」と「エンデの遺言」/「運が悪い」発言と実
態の解明/警察監査と権力の根源/柄谷行人「倫理21」

■00.3.6
臓器移植法改正案への反対運動ですが、森岡さんのHPでも「反対声明」が書か
れています。
○森岡正博「臓器移植法改正に反対する」
http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/ishokuho.htm

ネット時代にどのような運動が可能なのかという「実験」にもなるとのことで、
なるほど、それは面白い。面白がってばかりじゃいけないけど(笑)、誰かが統
率するのではなくて、個人個人が責任をもって「クール」にやっていこう、とい
うのは、ホント、その通りだと思う。前の走り書きに書いた「見えないネットワ
ーク」ってそういうことでしょう。そういうことが可能なのはこれが単に利害関
係にもとづく政治的なものではなくして、森岡さんが言うように「この運動を通
じて生と死について深く考えていける」という核があるからでしょう。

このページで森岡さんは、10月までにこの改正案への対案をまとめていこうと
呼びかけ、ご自身以外の対案へのリンク(てるてるさん案)もはってます。こち
らもぜひご覧いただきたいと思います。
○試案(てるてるさん)
http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/teruteru.htm

■00.3.7
昨日(6日)の朝日新聞夕刊、エンターテインメント読書のコーナーで歌人の枡
野浩一さんが、なつかしや『大正野郎』をとりあげてました。枡野さんは我が?
下村誠のCD評などを書いてくださったこともある方で、縁なきにしもあらずっ
てとこですが、それにしても、この『大正野郎』ってマンガ(山田芳裕、小学館
文庫)、私も非常に影響を受けたというか、ほとんどシンクロ的に同じよーなこ
と(大正ロマンにひたり、カリアゲ、オリーブ色のスーツで、浅草界隈を愛す)
をやってたので非常に思い入れがあるのです(ちなみに私の過去作品『平成大逆
転男』のタイトルはモロこの『大正野郎』を意識してマス)。というわけで、こ
の『大正野郎』はオススメ。山田芳裕さんはヤンサンの『デカスロン』が有名な
のかな。

と思ったら、この朝日夕刊の読書コーナーではもう一人、作家の山田智彦さんが
評者になっていて、『エンデの遺言』(河邑厚徳・グループ現代、NHK出版)
ってのを取りあげてますが、のっけから「すばらしい本に出会えた。(改行)」
ですから、こりゃスゲェって感じですよ〜。といっても私、この本のことはたま
にROMしている小脳論掲示板で知ってたんです。ちなみにこの書評によると、

「…地域通貨の果たす役割の大きさに注目し、その実態をレポートしながら、お
 金の根源を問い、正体を探る。貨幣システムの大胆な変革こそ、人類が今後も
 地球上に生存できるか否かの分かれ目になるというエンデの遺言…」

というものですから、これはゼヒ読まねばって感じですね。それにしてもそのた
めに「忘れられた思想家セルビオ・ゲゼルの理論を掘り起こし」ってのが、オッ
と気にかかる。ちょうど前のヘッドライン(32号)で「ラスキン」について書
いたところだったからね。「忘れられた思想家」っていっぱいいるんですね…。

追記:枡野さんのCD評は、下村HP内にも掲載されてました。
○ワイルドティアーズCD評
http://page.freett.com/nattyrec/index.html
ちなみに、下村CDプレゼントは3月14日を持ちまして締め切らせていただき
ました。ご応募ありがとうございました!

■00.3.8
オブチ首相「運が悪かった…」(国会クエスチョンタイムにて)

前号のヘッドラインで「運悪く見つかるという不幸さえなければ、どんなに仕事
をさぼってもいいとお墨付きを与えたようなものではないか」と書いたがホント
にそー思ってらしたのね。見苦しくも途中で話をさえぎられたとかフォローを入
れてたが、あの文脈ではゼッタイ、「運が悪かった(だけ)」って言ってるよ。

ちなみにこの問題については、一部で「騒ぎすぎ」という話もあるようだが、オ
レとしては決して「もっと処分を重くしてオレ達のウサを晴らしてくれ〜」と言
ってるのではなくて、「もっとキチンと実態を調べよ」と言っているという点で
「騒ぎすぎ」の人々とは一線を画しているつもり…。上のクエスチョンタイムで
鳩山氏はそういう発言をしてしまう「体質」を問題にしていたが、そこで思い出
すのが、前日の国会での中曽根文相の発言。教師が国歌を歌うように指導しない
場合、懲戒処分にすることもありうる、と言ってるのね。その理由が「教育指導
要領」は法律に準ずるものだから、それに違反した場合、懲戒するんだっていう
んだよ。ここでアレ?と思うのは、それじゃー例の公安委員会で、件の警察幹部
が「法律を犯したわけではない」と言うのってナニ?ってことだよね。警察だっ
て職務規程で動いてるわけでしょ。これって何なんだって言えば、ようするに恣
意であり、手前勝手な法の運用(私物化)が横行してるってことだよ。警察官僚
は身内だから厳しく問わないけど、現場の教職員なんかどーせサヨクだから処分
しちゃえってことでしょ。そういう官僚と政治家の体質を問わずして、マスコミ
を「騒ぎすぎ」と批判しても、いったいそれが誰を利することになるのか。まあ
だからして「騒ぎすぎ」でいいとは言わないけど(基本はやはり「実態を明らか
にせよ」ということだ)、今回のは単なる私人へのバッシングではないことは、
ハッキリさせておきたい。

注釈:いちおう断っておくと、オレは国歌を歌うよう指導しない教師を処分せよ
 といってるわけじゃないですよ、念のため。

実ハこのところ、柄谷行人の『倫理21』(平凡社)に首ったけなんだけど、こ
の本でも「原因を追及するということと責任を追及するということを区別すべき
…「責任」をいわれると、事実そのものを否認する人たちがおり、一方、「責任
」をいう人たちは、ただ一面的に道徳的で、「原因」を問おうとしない」って一
文がありました。まさにこの状況を言ってるかのごとくだけど、よーするに日本
はそんなことが延々と繰り返されてる国だってことだけどね。

それはともかくこの柄谷さんの本について書いておくと、「著者初の書き下ろし
評論」ってのもビックリだが(エッ今までなかったの?!)、内容が、私も昨年
来ずーっとかかりきりになってる倫理や公共という問題に、非常にスルドク迫っ
ていて、これでかなりの問題が整理されたって感じ。自分も考えてきたこととシ
ンクロしているというか、オレの関心からすると、すばらしいアイデアに満ちて
いるという感じ。早くも今年のベスト10の一本が決まりっていうか、「すばら
しい本に出会えた。(改行)」というか(笑)。柄谷さんは倫理について考えて
結局カントに行き着いたというんだけど、逆にこれ読んでからカント全集読んだ
ら、メチャクチャ分かりやすいんだろーな。以前、『生命のメタフィジック』の
山口實先生が、「すべての人のための分かりやすいカント入門書」を書いてると
書いていて、なんでカントなの?と思ってそのまんま忘れちゃてたけど、これを
読んでなんとなくその意図するところが分かった気もする(でも山口版カントも
さらに期待するところです)。

ところで、この本の最大のポイントは「倫理は形而上学的なもの」と見切ったと
ころにあると思うけど、そういった内容についてはこれまで書いてきた流れとか
かわるので、書き出すと長くなりそうなので、いずれウェブマガジンで。伊丹堂
の「オムレットへの質問に答える」や「大澤真幸『責任論』を読む」に続く(倫
理をめぐる)架空会話シリーズとしてまとめてみたいと思ってます(というか、
読んでる最中から例の二人組が頭の中で会話をはじめちゃって、気が散る、気が
散る。…という感じで、それはすでに始まってるのです)。もちろん批判点もあ
るので、それについても。
○オムレットへの質問に答える
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/gnc2.html#00007
○大澤真幸『責任論』を読む
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas33.html#1224

追記:その架空対話は「倫理とは何か?――柄谷行人『倫理21』を読む」と題
して、ウェブマガジン33号に掲載しました。リンク先は↓の17日の項に。

■00.3.12
朝からNHKの日曜討論なんか見ちゃったんだけど、これがまたヒドイ。公安委
員長(保利氏)の処分問題が争点になってたんだけど、自民自由公明の人々はそ
ろって、公安委員長には「権限」がないから、処分できない、だから「権限」を
強化すべしと言っていたぞ。マスコミの「騒ぎすぎ」に乗じて、権力を強化する
ための「制度改革」に利用しようという動きが杞憂のものでなく、本当に動き出
してる(ようするに政治家の「コントロール」のもとに警察を置こうとするもの
だ)。少なくともこの討論に出てきたメンメンはかなり本気。しかし彼らが言っ
てる「権限がないから処分できない」って論理がそもそも、まったくのウソ、詭
弁。少なくとも公安委員会という会議を開催して統率する権限はあるのに、それ
すら果たさず「もちまわり」で(つまり何の議論もなく)決めたってことが問題
なんだからね。まずはその事実をハッキリと認識し、何の当事者能力も発揮しえ
なかったこの委員長を罷免するってのが、コトの道理ってもんでしょう。その上
でなきゃこの制度が機能してるかどーかなんてわかんないでしょ(基本的には菅
氏のいう国民によるオンブズマン制度的なものに変えていくという「改革」の方
向なら賛成だけどね。菅氏は「国家警察」と「国民警察」との違いを強調してい
たが、まさに警察の権力の根源は「国民」の公共性の精神にある、ということを
ハッキリさせておくべきところでしょう。ヘッドライン18号参照ください)。

■00.3.17
上に予告していた柄谷行人『倫理21』についての架空対話をウェブ・マガジン
にアップしました。も〜忙しいのに、これだけはやらなきゃと、かの2人組(獏
迦瀬&伊丹堂)にせかされて、なんとかかんとか書き上げました。いろいろと不
備が多いと思いますので、ご意見お待ちしております。ところで、ちょっと前に
「臓器移植法改正案への反対」のバナーを作成し、ウェブのトップページに掲示
してますが、このバナーの一つに書いた「脳死の人からの臓器移植は、本人の善
意ある倫理的判断によってのみ許されるはず。」という文章についての解説?の
ようなもの(あえて解説などいらないと思いますが)も含まれてますので、関心
のある方は、ご覧いただければ幸いです。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas33.html#0314

追記:ちょっと前に書いたけど、マンガの方がちょっと描きはじまっていて(?
なんか変な日本語だけど)、さらには仕事のバタバタじたばた、それに加えて『
倫理21』へのコメントがどーしても書きたいってのが重なって、メルマガの発
行が遅く(更新が休みがちに)なってしまいました。『倫理21』については書
き終わったけど、これで忙しさが減る気配もありません。どーせならメルマガは
隔週にしちゃおうかな〜と思いましたが、こーやって2週間分のをまとめてみる
と、前の方のネタはあまりに古いって感じ。というわけで週刊を維持して内容が
少ないのは目をつぶってもらおうかって方向で考えてます。次週もよろしくお願
いいたします。

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 ■おしらせ
 『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
 の詳しい内容は下記URLに掲載しております。ぜひご覧ください。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html
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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 2000
 ご意見・ご感想等:info@hirumas.com
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