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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第34号 00.3.18-00.3.24
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。人文系書籍の情報、社会時評、HP更新情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
白川議員問題/国会図書館/少年犯罪について/卵形チョコとモワ・ズバ/「東
大で上野千鶴子にケンカを学ぶ」/町野朔氏による臓器移植法改正案全文/表現
文化研究会

■00.3.20
新潟県警問題が白川議員問題にまで飛び火してますが、いいかげんにせい!って
感じ。もちろんこの違反もみ消し自体言語道断だけど、ちょうど先週のあるオヤ
ジ雑誌で「議員の口利きでもみ消しが横行している」ということが取りあげられ
たばっかりで、ようするにどこにでもある話がなんでいま、新潟で、しかも白川
氏なのか、ということが気になるところ。たまたま新潟選出だったから、という
よりは明らかに自民党内部で自自公を批判していた白川氏を標的にした「報復」
ではないか?と思ってたら、栗慎のサイトでもそう書いてましたね。
○栗本慎一郎
http://www.homopants.com/
○白川勝彦Webサイト
http://www.liberal-shirakawa.net/index.html

このメルマガ前号などでも問題にしている「権力の恣意的な運用」がいかにまか
り通っているかということだ(つまりどこにでもある話がなぜここだけなのか?
さらに栗慎も指摘していたけど、県警不祥事の問題でもっと調べられるところは
多いのに、それは手を着けず、この交通違反もみ消しについてはあっさりと警官
の逮捕までいってしまうという不思議さ。特に大元の監禁事件において「4年前
に母親が相談に来たときの記録が消えてしまったことがまったく解明されないま
まになっているその一方でこの件の迅速な「解明」は何なのか?ってこと)。

しかしその栗慎にしても白川氏の「うかつさ」にコメントしていたが、白川氏の
「問い合わせをしてやって商品券もらうくらいはいいんじゃない?」ってのはや
はりマズいでしょう。というか、オレとしては「あ、やっぱり」と思ったんだけ
ど、白川さんがそういう発言をしそうだというのは、十分存じ上げていたからだ
(ずいぶん前の航海日誌に書いていたのでご参照ください)。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/navi1996.html#1129

なんだかんだいって、白川氏のウェブサイトを見ると、今や自民党内のリベラル
派を自認してらっしゃるようだが、根っこはようするに「あっせん業者」。体質
は変えられないのか。でも自分のよって立つ思想をとことん考え直すにはいい機
会かもね(白川氏の思想的?変遷については、やはりずーっと以前の航海日誌「
小泉という男2」に書いてました…。なんか因縁浅からぬ方なのね)。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/navi1998a.html#0723

それにしてもこの「ずーっと以前の航海日誌」ってのを読むと、オレってホント
ただの政治好きオヤジそのもので、イヤんなっちゃうね。

追記:政治ついでにここでも何度かコメントしているアツオさん(中村敦夫)の
HPを見たら、トップページの走り書き?に「なぜ警察庁は、県本部長と管区局
長を逮捕しないのか?(官官接待が贈収賄罪にあたる)」という文言があるじゃ
ーないですか。わはは、オレの知る限り「逮捕せよ」とまで言ったのはオレとこ
のアツオさん(本人が書いたのか知らんが)だけ。アツオさん、国民会議ってい
う「政党」をつくって活動してるのですね。
○中村敦夫と国民会議
http://www.kt.rim.or.jp/~monjiro/

■00.3.22
新聞テレビでも話題になってましたが、ついに国会図書館の検索サービスが開始
されましたね〜。
http://www.ndl.go.jp

これでもう手元で探せない資料はない!ってことになった。さっそく行ってみた
けど、あれだけ宣伝されてさぞや混んでるだろ〜と思いきや検索ページはそれほ
ど重くなく、あっけなく『オムレット』も検索できました(笑)。ただトップペ
ージは異様に重いので、検索サービスWeb−OPACに直行しよう。
http://webopac2.ndl.go.jp:2000/index.html

■00.3.23
う〜ん、きのうのNステ、18歳の「少年」に妻子を惨殺された被害者男性が出
演してましたけど、ただただ頭が下がる。よくぞあそこまでキチンとした考えを
鍛え上げたものだと。特に控訴する理由が「判例主義によって思考停止に陥って
いる裁判官たちに、今回の自分の妻子が犠牲になった事件の判決を<利用>され
たくない」として、その上で「きちんとした判決(つまり死刑ということ)を今
後の社会のために残したい」というのは、死刑の是非は別にして、まったく共感
する(別問題として私は一刻も早く「終身刑」を法制化すべきと考える)。また
自分がマスコミに登場し(ある意味で利用し)この法廷闘争を持続することにつ
いて、妻子はイヤがるかもしれないが、それは自分が「向こう」に行ったときに
謝るしかない、と責任を引き受ける覚悟を表明していた。この潔い態度にも、久
々に気持ちが洗われるようだった。こういう人がいてくれるのは嬉しい。
>文中の引用?は、ひるますによる要約で、文責は私にあります。

■00.3.24
テレビといえば、「ズームイン朝!」で、「大人のオマケ」と題して、タマゴ型
のチョコレートに入ってる動物のフィギュアが取りあげられていて、これが面白
いのだ。なつかしやフルタ食品の製品が一番うけてるみたいで、日本の野生動物
がなん十種類かあって、それを全部集めようと何十万もつぎこんだ人が登場して
いた。なんでもHPでも交換したりしてるサイトがあるよーなので、関心のある
方はサーチしてみて。ワシもさっそく買いに走ったのだが、近所のコンビニには
おいてなくて、でかい道路の向こう側のアップルマートでやっと見つけた。いき
なり「トド」と「セミクジラ」が出てしまったが、い〜ですよ、これ。

この番組では、このフルセットをある動物学者さんに持っていってみせたら「う
〜ん、これをセレクトした人はそうとうマニアックな方ですね」とおっしゃった
ので、さっそくそれをセレクトした人に会いに行くって企画だったんだけど、こ
のセレクトした人物、実ハ、自ら動物フィギュアの型を彫ってる「彫刻家」?で
この人がまた面白い。彫るときに、資料はぜんぜんみないで、「オレのモワをバ
ッと入れて彫る」ってのね。文字で書くとなんじゃそれ?って感じだけど、よー
するに浮かんできたイメージを対象にズバっと投入して、それを掘り出すって感
じ? 漱石の『夢十夜』の運慶の話みたいだけど、これってワカルよね。「モワ
・ズバ」は、オレの中では今年の流行語大賞になりそーだな(笑)。資料見てな
いからちょっとは違うところがあるけど「それはご愛嬌」だそうだ。しかしその
愛嬌は、ワシらシロウトにはまったく分からないような微細に宿る愛嬌ではある
んだろうねー。

というところで人に押しつけられてイヤイヤ、遙洋子『東大で上野千鶴子にケン
カを学ぶ』(筑摩書房)を読んだのだが、これは面白い。ってゆうかこの人のエ
ッセイ的な部分はぜんぜん面白くないけど(オビには抱腹エッセイなんて書いて
あるが…)、ここで語られてる知とか学問というものについてのスタンスには非
常に共感した。

よーするに最初は、上野千鶴子ヲタクむき出しのこの著者が、「ああん、上野先
生、ウエノお姉さま〜」と喚いているだけって感じで放り出しそーになったが、
シンボーして読んでると、だんだん「学問することの面白さ」「感動」というも
のが、語られてきたりするわけだ。学問も「創造」であり、共有するヨロコビだ
だということ、それはオレも言葉ではよく言うけど、ここには「それをカラダで
分かってく」ということが、ドキュメントとしてさらけ出されている。たとえは
悪いが、無言語の世界で育った人が言語を習得していく過程を回顧して書いた「
自伝」ってのが、昔あったけど、それに似ている。学問の「言葉」が、少しずつ
身にしみてわかっていく過程、その感動のドキュメントというわけだ。著者はこ
の感覚を「人は感動によってしか変われない生き物」と言い、その感動を独占し
てきた大学とか学問の世界に憮然とするのだが、まさにそうだね(そっちに行か
なかった自分も悪いのだから、憮然とする以外ない)。

ここで著者は上野さんの文章を引いて、知とか学問にするスタンスを明確にして
いるけど、これがほとんど認知哲学なんで、マゴ引きしとくと、

「経験知は経験の絶対化を意味しない。この「経験」はなぜこうであり、こうで
 しかないのか? この経験が「こうでなかったかも知れない可能性」はあるだ
 ろうか?…その構想力を私たちは「自由」と呼ぶ。」(上野『<わたし>のメ
 タ社会学』)

経験がこうである「にもかかわらず」、他の経験の可能性を探る、あるいはその
経験を成り立たしめている根拠を問うこと。と言いかえれば、これはほとんど、
これまでここで「倫理」について言ってきたことと一致するでしょう(根本的に
コトの創造の核には「倫理」的なものがある、という斎藤環)。とくに認識的な
知もまた「倫理的」なものである、というところは柄谷行人の『倫理21』につ
いてのところで見たところだった(カント=柄谷さんの「自由であれ」という義
務が、上野さんでは自由という構想力(つまり能力)の問題になっているという
違うはあるが。そーいう意味では上野さんの言い方はヨリ認知論的である)。こ
のような倫理的な態度によって知を創造したとき、あるいはそのような知に触れ
たときに「自分」が変わり、それが感動をもたらすってことだろう。ここで著者
が「感動によって自分が変わる」と言ってるのは、まさに言い得て妙で、ある知
が自分の中で創造されるということは、これまでの知や経験を成り立たせていた
「枠組み」が変わるということでもあるから、そこに立ち上がる「自分」もまた
変わっているということになるわけだ。そこから振り返ってみればこれまでの経
験や記憶の「意味」さえもが変わってしまうわけで、こういうことを「経験の更
新」とオレは言いたい。

それと著者が上野さんに語られた「直感力」についてまとめているところが、ま
さに「コトの創造」という感じで面白い。

「直感力…なにかもやもやとした、物事を見え難くさせている環境を通して、そ
 れでもそのもやもやとしたものを見すかしてその向こうにある本性のようなも
 の、正体のような核心のようなものを見抜く力。…これがあれば、あとはその
 もやもやとしたコンテクスト(環境)を可視化し、言語化していくだけ。その
 ために勉強があり、これを教養という。」(『東大で…』)

上野さん本人によると直感力とは「直観とは文節される以前の論理の別名」だそ
うだが、オレ的に言えば「コト的イメージ」か。あるいは先制的に閃くコト的イ
メージとでも言うか。ま、それはどーでもいいけど、ここで思い出すのが「モワ
・ズバ」ね(笑)。彫刻家もまず「モワ」という直観(というよりイメージ)が
わき起こり、それを「可視化し」、掘り出していく「だけ」。そのために「修業
」があり、これを「文化(技術)」という、といえば、ほとんど同じことでしょ
う。まぁその「だけ」の方が大変なんだけどね。

それにしても、この本、こういった学問や知のヨロコビ、というのは結構だけど
この著者がその結果としてフェミニズムという道具を得て、いったいそれでどー
しようというのか、そういったことが全然伝わってこない。いまこの社会に対し
てどういうことを考えているのか、あなたのモワ・ズバはなんなのか? 伝わっ
て来るのはこの著者のヨロコビなんだけど、それってオレたちが付き合わなきゃ
ないことなのかい?という「やっかみ」がフツフツと湧いてくる。「これで文化
人になれました」じゃしょーがないだろうっていうか?…まあすべてはこれから
だ、ということになるんだろうし、こういう本があってもいいじゃん、特に「若
い人」に学問のヨロコビを伝えるにはいい本じゃーないですか、と正論を述べて
今日はこれまで。

追記:ついでなので、私の文章への関連リンクをば。
○「倫理21」について
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas33.html#0314
○「創造の核としての倫理」について
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/gnc2.html#TAMAKI
○「経験の更新」ってのはこういう感じ…
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas31.html#0924

■00.3.24(夜)
件の町野朔氏による臓器移植法改正案全文を森岡正博さんが「臓器移植法改正反
対ページ」にアップしてますので、ぜひご覧ください。
http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/ishokuho.htm

森岡さんによれば、「町野氏はまだ私案だとおっしゃっていますが、彼が移植法
についての研究班の分担代表者である以上、この案が夏前には正式な報告書とし
て提出されることになるはず」とのこと。なんか今までは新聞の記事の要約でし
かわからなかったので、ようやく「相手」の実体がつかめるようになったってこ
とか。いずれにしても、これが議論の前提となるものです。

蛇足:トップページにメーリングリストなどネット上でグループウェアを使用で
きるサービスを設置してみました。実ハこのサービスを使ってなんか面白いこと
が出来ないかナ?と思っただけで、何も考えてなかったのですが、いろいろとタ
イトルをかえてて、結局「表現文化研究会」ということにしてみました。このサ
イトを見てくれてる人ならだいたい想像がつくかもしれませんが、よーするに生
きるってことは「表現」であり、学問も芸術も仕事も「表現」なんだっていうワ
シの立場からしてあらゆるコトガラに興味をもって探求してみよう!という企画
なのです。といっても何をやるんだかさっぱり(私にも)分かりませんが、興味
のある方は「無料」ですので、ぜひご参加くださいませ(東浩紀さんの「表象文
化論」とは関係ありません)。

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 ■おしらせ
 『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
 の詳しい内容は下記URLに掲載しております。ぜひご覧ください。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html
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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 2000
 ご意見・ご感想等:info@hirumas.com
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 配信:Pubzine http://www.pubzine.com/
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