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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第37号 00.4.8-00.4.14
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。人文系書籍の情報、社会時評、HP更新情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
夢見る日々/オブチ同情論その後/ひるますのショキロン/強さ・弱さもヒステ
リー/「女性性」と「至高のエロス」

■00.4.10
新宮さんの『夢分析』読んでから、けっこう夢見まくってます。さいきん、あん
まり夢見てないなーなどと思ってたんだけど。むかし夢について書いたころに(
前号にもアドレスを書いてますが、ウェブマガジン0号に載せてるもの)、その
実践としてつけてた「夢日記」があって、それを引っぱり出して読んだってのも
結構影響しているだろう(忙しいのについつい夢中で読んでしまった)。その夢
日記、かなりたくさん書いてるのものの、当時は平凡な夢だなぁと思ってたが、
こうしてずーと時間がたってから読んでみるとナカナカ面白い。とくに新宮さん
の方式でかなり「読める」とこも多い。ま、ここで自己分析を開陳してもつまん
ないと思いますんで、やりませんが、やっぱ「夢」については興味がつきないで
すね。

■00.4.11
ヘッドライン前号でオブチさんへの同情論を問題にしておいたけど、さっそく野
中氏が問題発言をなさったらしいね。鳩山氏の議会での批判のせいでオブチは身
も心もボロボロになったといったそうで、いやはや…。どっかのキャスターも言
ってたが、議会ってのは「議論」をするところで、その「議論」のせいでボロボ
ロになったなんて言われたらそもそも「議論」が出来ないではないか。議論なら
ぬ謀略によって身も心もボロボロというならそういう批判も成り立つが、そんな
ものはドコにモない。議論でボロボロになるなら、やはり議論に耐えられぬよう
な政策や法律を通そうとして首相の座にしがみついてた自分が悪いのよ。

それにしても野中氏のこんな発言を形容するコトバって、オレ、○○○の腐った
のみたいなってのしか知らないんだけど、他にあったら(いや絶対あるはずだ)
ぜひ教えていただきたい。鳩山氏が天を仰いで泣いたそうだが、それは分かる。
こんな人が政府の実権を握っているんだから、もう泣くしかない。

一方で青木氏、早くも「臨時代理」に任命されたのがウソだったことを白状した
らしいが、これがなんでまかりとおってるのか。ウソを通して政権交代をやった
なら、はっきり言ってクーデターじゃないか。もちろん腹が立つのはこれがクー
デターなんかじゃなくて、クーデターですらないただのなし崩しだということ。
この前も引き合いにだした村山氏のところでオレは日本の「現実」は「冗談」に
なった、と書いたわけだけど、これはまさに「冗談」そのものでしょう。それを
象徴しているのが「森さんでいいんじゃないか」ってコトバだが、こういうのを
こそ「白々しい」というんじゃないのかね、野中さん。

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■おしらせ
ウェブマガジンの特別版として「ひるますのショキロン(初期エッセイ論文集)
というのをアップしました。贈答論と盟友論というなんかヘンな文章がメインに
なってます。それにしても13年くらい前のものなのに、ほとんど考えてることは
一緒…。というより、表現と認識の問題やら、自由と精神、世間の問題など、オ
レの考えてることの原点がここにあったかという感じです。だからなんだっつー
こともなくて、オレの回顧だってことなんですが、「贈り物」や「ドラッグ」と
いうキーワードに興味がある方には面白いかも。
○ひるますのショキロン(「臨場哲学 extra#1」)
http://www.bekkoame.ne.jp/%7Ehirumas/WEBZIN/hirumasEX1.html
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■00.4.13
慎太郎都知事の問題発言についての記者会見で、前項でふれた野中氏を思いだし
た。野中氏が「弱さ」を前面に出しつつゴネ得をえようとするモードなのに対し
て、慎太郎都知事は一見「強さ」を前面に出していて、それが一部の人々には受
けているようだ。しかしデカイ声だして怒れば強いなんて、あまりに時代錯誤じ
ゃないの。慎太郎税が問題になったとき、テレ朝のサンデープロジェクトで元大
蔵省の榊原氏が「日本で唯一慎太郎と議論で渡りあえる男」として紹介されたこ
とがあったけど、この人の話きいててガクッとしたのは、この人も声がデカイだ
けで、言ってることは別に他の慎太郎批判とおんなじだったからね。ようするに
慎太郎的ポピュリズムはファシズムにつながるというもの。それは実際そーで、
今回も慎太郎的な体質というのを露呈してくれたわけだけど、それと「税」の問
題を論理的に突き崩していくことは別でしょう(その論理的な批判についてはヘ
ッドライン32号で紹介)。

それはともかく見た目の強さ・弱さは関係なく、これってどちらもただの横暴っ
てもの。ホントの強さって、「論理」であり、説得的であるかどーかであり、し
かも他者への配慮に行き届いているか、ってことじゃないの。つまりそれが「知
力」ってことでしょう。思いおこせば都知事になる前の慎太郎氏はたけしの「T
Vタックルって番組でフェミニストの田島女史と対決し、父性が大事だというこ
とを語ったのだが、彼のいう「父性」なるものが、ようするにこういう種類の横
暴さでしかないことは、それを見ていて分かっていた。もちろんオレはフェミニ
ストでもないのだが、そんな(バカに墜ちるという意味での)父性なら、いらな
い。というか「強さ」を父性だとか男性性とかに絡めて考えることがバカバカし
いと思う。

一方、前項で野中氏の「弱さ・ゴネ」モードを?、「○○○の腐ったの」つまり
「オンナの腐ったの」という形容しか知らない、と書いたように、別に女性差別
ではなくて、そういうヒステリックな態度から、僕は「女性的」という連想をし
てしまうわけだけど(これはある程度一般的にそうでしょう…注:誤解されない
ように話がくどくなっております)、今回の慎太郎会見に僕がその野中氏を連想
してしまったように、慎太郎の一見「強さ」と見えるモードも、結局は「強さ」
の装いというか、根っこにあるのはヒステリックな態度、という意味で同じよう
なものなのだ。ホントの強さとは何かという視点からみたら、慎太郎知事なんて
ホント、ヨワヨワよ。

そういうふうに見ていくと、ヒステリックな態度を「女性的」と形容することが
ほとんど無意味になってくるでしょう。だってちょっと考えただけでも、そうい
うのって「男」の方が多いもん。ノックさんとか(たとえば「き、君たちは、大
阪府知事をどれくらいイジメれば、気が済むんだ!」は男性的か女性的か?)。
ようするに強さ・弱さ、男性的・女性的、父性・母性という言葉を、使うなら、
きちんとその文脈における意味を明確にしないとダメってことだよね。

オレにとって問題は「単にヒステリックでしかない態度」と「知的に立ち向かお
うとする態度」の別ってことでしかない。これは男性性も女性性も父性も母性も
関係ない。ちなみに「ヒステリー的」とは斎藤環さんの定義によって(「臨場哲
学27」参照)「依存しつつ拒否する身振り」のことだから、そうではない知的
態度というのは、依存を断念し、自らに責任を引き受ける「倫理的な態度」とい
うことでもある。女性性ってのはダイジなもんで、そういうヨワさ、ゴネ、ヒス
テリーなどといったものと一緒にしてちゃいかんな〜、ということです。
○「臨場哲学27」(「なぜ人を殺してはいないか」問題について)
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas27.html#0329

■00.4.14
前項で「女性性は大事」って書いたんだけど、そんなことをフト思ったのは、こ
の前とりあげた『夢分析』の著者・新宮一成さんが以前に出してた本、『無意識
の組曲』(岩波書店)を読んで、「女性性」に関して、まさにそう!という共感
をしてしまったからだ。オレが考えてる「女性性が大事」ってのは、ユング派の
「内なる女性性アニマが大事」というようなヤワなもの?ではない。はっきり言
えば「あらゆる男(というか女も含めて人間)は、女になりたい!というカタチ
でのエロスを持っている」ということであり、さらにはそのようなエロスこそが
根源的なエロスなのだ、ということ。このことはすでに「でぃーぷ・ひるます」
の「シンジ君の謎〜エヴァンゲリオン」に書いておいた。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/deep.html

この本でそういう主張が直接されているわけではないけど、ほとんどそう言って
るのが、この本の中の「ポール・デルヴォー、夢と欲望の孤独」って文章。デル
ヴォーってのはシュールレアリズム系?の画家で、幻想的な街(機関車や市街電
車が幾何学的な構図で配置されている)の中に、美しい女が裸で眠っているとい
う感じのファンタジック・エロっぽい感じの作風の人(しかし、なんちゅうボキ
ャ貧な紹介の仕方だ…)。新宮さんの論は、この風景が夢の中の風景であるとい
うところから発して、その風景はこの裸で眠る女自身の夢であり、さらにはこの
女は、画家自身が絵の中に入って「女になってまどろんでいる」というふうに進
んでいく。

「絵を描いているとき、私はまさしくタブローの中にいるのだ」とデルヴォー自
身が言ってるそうだが、新宮さんは「母に見られながら、母のように美しい女性
として夢の中に住まうこと、それがデルヴォーの理想の空間である。欲望はやは
り、欲望の対象を得ようとしていない。そのかわり、欲望は、欲望を起こさせる
対象そのものに成りおおせている」といってる。「女になりたい」と表現すると
すごくヘンな感じがするだろうが、マンガを描いてる身からすると、こんなこと
は「あったり前の事」だ。美を求める画家(マンガ家)が、絵の中に入り込んで
女になる、欲望の対象そのものになるって、当たり前で、だってそうしなかった
ら、見る人(読者)の欲望を引き起こさせる絵(キャラ)が描けるわけがない。

話はそれるが、そういえば全然、欲望をかき立てられない美人画(古〜っ)なり
キャラなりというものが、この世にはごまんとあるが、ああ、あの人たちって「
女にならないで」描いてたのね…。あれは別に技術とかの問題じゃないんだよ。
いくら細密に「観察」して描いたって「そそる」絵になるかどーかは別だもんな
ぁ。と考えると、なんかナットク(他人様のことをどーこー言える立場でもない
が)。

それにしてもなんでまた「女になる」つまり「欲望の対象そのものになる」こと
が根源的なエロスなんだろうか? 先のエヴァ論では渡辺恒夫氏の『トランスジ
ェンダーの文化』に依拠しつつ、生物学的に女性性が根源的だというふうに一応
説明しておいたが、それがホントなのかどーかは知らない(現時点でのフェイク
なリクツでしょう)。しかし、これがたとえば「環境」によって性同一性障害に
なったというような後天的な、あるいは「相対的な」問題(実際問題、「男にな
りたい」女というのもいる)とはほとんど関係ない、エロスをめぐる本質的・絶
対的な問題なのだということを私は確信するものだ。なんか大げさな語りだが、
この新宮さんも同じ意見らしい。

新宮さんはかの有名なシュレーバー氏の回顧録を引き合いにして、なんでまた?
という疑問に答えようとしている。それは「神の女」になって、「神の前に身を
差し出す」ことなのだ、という。「女になることは、単に彼個人の望みなのでは
ない。それは神に対する聖なる勤めなのだ。エロスの中にある至高の倫理がここ
にある」と。なんと「至高の倫理」ですよ。これは言い方を変えれば「至高の愛
」ってことでしょう。無償の供物として自分を捧げること、それはウラハラに極
限的なナルシシズムでもあるような、その両面が神秘的に合一した瞬間とでもい
うか。まぁいずれにしてもワタシ的には、真の「女性性」ということは、こうい
う文脈で使いたい、ということなのでした。

追記:しかし普通、慎太郎の話からこんなとこに飛ぶかね。それにしても、こー
して振り返ってみると、オレのエヴァ論ってかなり核心を突いてるんじゃないだ
ろーか(すっかり忘れてたけど)。やっぱ庵野さんは「この欲望の孤独な歩み」
(新宮氏)の道半ばで挫折したってことかいな。話はかわるけど、うちのリンク
集で、「性転換」がモチーフとなっているマンガや文学・アニメ・ゲームなどあ
らゆる「フィクション」(ただし、性転換といっても実際の医学によるものでは
なくて、SFやファンタジー的な仕掛けによって女の子になるというような話)
を紹介するサイト「yaysの性転換の館」を掲載してましたが、ここがバージ
ョンアップして、名前も変わってましたので、再掲しておきます。この「道」に
興味のある方はご覧あれ。
○八重洲メディアリサーチ
http://www14.big.or.jp/~yays/

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 ■おしらせ
 『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
 の詳しい内容は下記URLに掲載しております。ぜひご覧ください。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html
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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 2000
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