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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第38号 00.4.15-00.4.28
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。人文系書籍の情報、社会時評、HP更新情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
『戦闘美少女の精神分析』が出た/「翼は傷つかない」/「民主主義で行こう!
」/カエルのケロケロレポート/『中年男に恋はできるか』/再び「象徴界」に
ついて/善意と臓器移植

■00.4.17
ついに斎藤環さん待望の新刊、『戦闘美少女の精神分析』(太田出版)が刊行さ
れました(感涙)。定価2000円であります。ぜひご覧下さい。

追記:「どこより早い斎藤環情報」(笑)と言いたいところですが、配信が遅れ
てこのメルマガでのお知らせはちょっと遅くなってしまいました。この際、誰か
斉藤環さんのファンページとか作んないかな〜。それにしても私もいま(という
かこの数年ずーっとかかり切りで遅々として進展していないのだけど)『オムレ
ット』とは別系統の作品で「戦闘美少女モノ?」を描いていたので、ぜんぜん別
の意味でこの本は参考になるのでした。
 この本について書くと長くなるのでまた後日(ってのが最近多いような…)っ
てことにするけど、本筋とはちょっと違うところでひとつここで紹介しておこう
と思って書いたらそれがまた長くなっちゃったので、このメルマガの下↓に移動
しておきました。

■00.4.19
またまた更新が滞っています。嵐の前の静けさか…。

え〜、とりあえず下村誠ライブ情報を更新してます。シングルCDも発売とのこ
と。今回は「日の出の森」を守るため闘ってきた仲間たちを想って生まれたとい
う「翼は傷つかない」です。くわしくは下村HPをご覧下さい。
http://page.freett.com/nattyrec/index.html
(トップのファイルをindex.htmlに変更しました。
 ブックマーク、リンクの変更などよろしくお願いいたします。)

例によって書かねばならないことが山積しているのですが、なかなか時間がとれ
ない。マンガは調子にのってるのですが(発表する当てもなく描き続ける投稿作
家って感じになってますね…)、ずーっと以前に予告してた(ヘッドライン31
号)政治マンガ?が一応カタチになってるので、これをマンガリストに入れてお
きました。タイトルは「民主主義で行こう!」で、このメルマガを読んで下さっ
てる方には想像つくかと思いますが、あまりにも「民主主義」ということが分か
っていない日本の政治(自公保)に対して怒りの鉄拳を浴びせる(笑)という内
容。本編はウェブのみの公開になると思いますが、どういうカタチにするかは検
討中です(フリーウェアみたいな形式がいいのかな?)。
○マンガのリスト
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi11.html

追記:具体的にはアドビのアクロバットでPDFにしてダウンロードしてもらう
というカタチを考えてるんだけど、アクロバットを買う金がないので、ちょっと
待って下され。PDFを読む方のアクロバットリーダーは無料なので、今のうち
にダウンロードしておこう!(Macには付属してるけど、最新版の4.0とい
うのがイイらしいのです) ついでなので、前の『ブックオムレット』もPDF
にして「デジタルコミック・ダウンロード・サイト」にしてしまおうか、とも思
ってるのだけど、考えてみればそういう方向でマンガを展開するって方法もある
のだった。まぁ長いのは無理だろうけど。
○アクロバット・リーダー・ダウンロード
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep.html
 ちなみに Windows版:6.24MB
      Macintosh版:5.7MB あります(重…)。

■00.4.22
↑前項で嵐の前の静けさ…なんてシャレのつもりで書いたら、マジで強烈な忙し
さに突入し、更新がとまってます。よって今回のメルマガはお休み。一方、カエ
ルさんの森岡ファンHPで、カエルさんが先日行われた「反対シンポ」の詳細レ
ポートを書いてくれてます。オレは行けなかったので大感謝。皆様もぜひご覧下
さい。
○カエルのケロケロレポート
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/4728/hantai.html

追記:このシンポ、問題の順天堂大(つまり小渕さんが入ってる)の教授、山口
洋氏も参加ってことで、クリシン(栗本慎一郎)もコメントしてます。
http://www.homopants.com/column/index.html#alias

またこの下↓にも私がこの臓器移植法改正反対バナーに書いたことに関連して、
ちょっとコメントしてますので、ご覧下さい。

■00.4.23
本を読むヒマというか余裕がないんだけど、読売の書評に小浜逸郎さんと佐藤幹
夫さんの対談『中年男に恋はできるか』(洋泉社新書)が紹介されていて、この
書評がおもしろい(評者:井田真木子)。それによるとこの本の内容は、実際問
題として女性との間で恋が出来るかどーか、ようするに恋愛・性愛というカタチ
でのコミュニケーションが出来るかどーかという問題ではない、という。そうい
うことであれば、別に問うまでもなく現実のオヤジたちが実現している(笑)。
そうではなくて、ここで問題なのは「老い迫ったさみしい私を恋でしあわせにし
て!」ということであり、さらに言えば「ひょっとしてエロス=恋を獲得したら
生気が戻るのでは?」というものだと言うんだが、それに対して井田さんは「悪
いがそれは無理だろう」とビシリと言い切ってて痛快なのだ(といっても私は小
浜ファンなので悪い意味でそう思うわけではないですよ)。ワタシ的には、これ
はヘッドライン前号でとりあげた「至高のエロス」の話を思い出させるわけ。あ
の「至高のエロス」の説によれば、エロスを獲得するというコトは「女になる」
というコトなんだから、たしかに「中年男」には「悪いが無理」だ(笑)。とい
いつつ、私も中年と分類される年頃になったかと思うと悲しくも恐ろしい…。
(ちなみにこういう話は実は斎藤さんの↑『戦闘美少女…』ともリンクしてくる
んだけど、それはまた追々)

追記:で、その『戦闘美少女…』の本筋とはちょっとはずれるけどコメントして
紹介しておきたいってのは、ラカンの「象徴界・想像界・現実界」について斎藤
さんが明解に語ってることについて。
 オレもヘッドライン32号で「象徴機能(象徴界)の機能不全」という問題の
たて方はおかしいのでは?と疑問だけ書いておいてそれをうまく説明できずにい
たけど、それを斎藤さんがズバリ語ってくれてるのだ。オレ的にそのような疑問
を持つのは、ようするに平たく言えば「象徴界の機能不全」が問題であるなら、
「象徴界の機能」が回復して万全になればすべてオッケーということになるハズ
だが、そのような論を展開する人がそう考えてるとはとうてい思えない。これは
しつこくも引き合いにだすけど大澤真幸さんの「第三者の審級の不在」への嘆き
にしても同型で、じゃあ、それが明確に存在するようになりゃいいのか?ってい
うとそうじゃないハズ。象徴界なり第三者の審級が明確に機能しつつ存在してり
ゃすべてオッケーということの前提は、人間が生きる意味なり社会がどうあるべ
きか(何が正しいか)が、その象徴界に「あらかじめ」決定されて書き込まれて
るってことなハズで、そうだとしたら人が生きる理由なんて何もないっすよ。ず
〜と前に第三者の審級の不在を嘆く大澤真幸さんを「人工知能か?」と揶揄した
ことがあったけど、その意味はそういうこと(ウェブマガジン25号)。
 これに対して斎藤さんが言う象徴界は「ほぼ言語のシステムと同義であり…、
われわれの主体にとって外部に位置する超越的な存在」だという。とすればオレ
たち的に言うと、これは「言語は思考の辺縁である(栗本)」という時の「辺縁
」つまり「ヨリドコロ」ってことでしょう。俗っぽく言えば、自分たちの社会な
り人生の意味なりがうまくいかないことを、普通は「言語のシステムがうまく機
能してないせい」とか、「ヨリドコロがうまく整備されてないせい」とは言わな
い。なにかがうまく行かないとしたら、外部のシステムが、ではなくて、自分た
ちの「やり方」つまり「実存」や「技能」そして「文化」といった内側のシステ
ム?が、うまく行ってないってことでしょう。
 この「内側」の領域こそが斎藤さんによれば「想像界」なのであって、それは
「イメージや表象の領域」であり、「いわゆる「意味」や「体験」が可能になる
のは、この領域である」ということになる。この言い方も面白いでしょう。つま
り象徴界の機能不全などと言ってしまう論者たちは、だいたいにおいて「意味=
象徴界」という図式的な理解をしている(宮台真司の「意味から強度へ」とか)
けど、そうだとしたら生きる「意味」を求めるということは単に「象徴界に登録
される」といったことになってしまうので、面白くもなんともない。そんなこと
ではないレベルでオレ達は「意味」を求めて生きたりするが、斎藤さん的な言葉
の用法ならそういうあり方をキチンと捉えることができる。「意味」は想像界と
いう「内側」でこそ可能になるのだから。というふうに、「象徴界の機能不全」
などとついつい言ってしまうことに代表されるような立場に対して、それはよう
するに「ラカンの誤読」と斎藤さんは言い切っていて痛快なのだ(ただし斎藤さ
ん自身はもっと緻密に論をすすめてますから、このラフなまとめの責任はすべて
私にあります…)。

 ところでこういうコトバの問題に長々と触れたのは、もう一つ、例の臓器移植
法改正の問題と絡むところがあるからだ。それはオレがこの改正への反対バナー
をつくってそこに
 >「脳死の人からの臓器移植は本人の善意ある
 > 倫理的判断によってのみ許されるはずです。」

と書いたんだけど、それに関して。
 この言葉自体は、森岡さんの論文でも言われている、そもそもの臓器移植法の
精神は本人の善意を生かすためのものではないのか、というような文言から組み
立てたものであって、とうていオリジナルなものではないのだけど、そのように
書いたのが私である以上、その責任はやはり私に有るんだろう(それに対する説
明は伊丹堂の「柄谷行人『倫理21』について」で若干ふれておいた)。今回、
ちょっとオレの周辺でも話題になったのは、「そもそも臓器移植のドナーとなる
のは、善なんだろーか」というもの。これに対するオレの答えは「そんなこと分
からない」という無責任なものなんだけど、このことは実ハその「『倫理21』
について」に書いたことと同じ。そこで「倫理的」といっても、臓器移植をする
ことが倫理的でエライというわけではない、と書いたけど、同様に「善意」とい
っても、臓器移植をすることが「善」であってエライというわけではないのだ。
じゃーその善意って何なんだといえば、結局は本人の善であろうとする思いこみ
にすぎない、ということになるかもしれない。そんなの意味ないじゃんと思われ
るかもしれないが、オレとしては十分に意味がある、と思う。つまりひとつはそ
こでも言ったように、それこそが「実存」の問題だからだ。そしてもうひとつは
「善」といったものが、そもそも原理的にそういうものでしかない、ということ
をここで言っておきたいわけだ。
 つまり世の中で何が善であり何が悪なのかということ(内容)はキッチリ決ま
ってるわけではない。それは状況や視点によって変わってしまう相対的なもので
しかない。しかし人が善であろうとする、善意を持とうとするその「方向」とし
て「善そのものもの」はある。それが善のイデアだというのが竹田青嗣さんの『
プラトン入門』におけるイデア解釈ね。なにも善そのものがどこかに実体として
あるということではない。しかしこのような「方向」としての善を絶対的な概念
として認めるのでなければ、そもそも人々が善をなそうとしたり、何が善なのか
について語り合ったり合意したりすることが不可能になってしまう。そういうも
のとしての「善のイデア」ってのは、ここまで読んだ人はピンと来たと思うけど
ようするに「我々の外部にあって」普遍的に存在する言語システムとまさに同義
でしょ! つまりヨリドコロなんですよ。つまり(あくまで竹田さんの解釈にお
ける)イデア界はイコール象徴界ってことになる。
 したがってバナーにおける「善意による…」は、それが「善」だということで
はなくて、あくまで本人の内側で、「善」という象徴的な方向をヨリドコロとし
て実存的な判断(覚悟)が行われているかどーかを問題にしているわけです。と
言うと、「じゃあ善意であれば何でも許されるのか」という疑問がわいてくるけ
ど、ここで言うのは、善意であればなんでもいいというのではなくて、とりあえ
ずこの臓器提供という行為?に関しては、それによって他の生命が救われるとい
う可能性をもって「許される」のではないか。「許されるのだ」と断言するわけ
ではないけど、少なくともその点について合意は可能ではないか、ということを
訴えかけるものです。
 それにしても森岡さんがこの運動についてはじめて語られた時点で、僕はこれ
を「後退戦」と言ったように(ヘッドライン29号)、許されるという以上に「
善」として推進されるべきことだ、それについても合意すべきだというとは思わ
ない、ということは一言付け加えておきます。それがギリギリ「許し」という言
葉を使う意味あいですけど。それにしても「許すの許されるのっていったい誰が
許すのか」。もし法律に書かれるとしたら、国民が「許す」ということになるん
でしょうが、実際的にはそれは「神」や「生命の根源」に向けられた問いでしか
ないでしょう。ただし「神」や「生命の根源」は「許すよ」と答えてはくれない
から、それに代わって国民が答えるということですけど(それが民主的な合意っ
てことね)。

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 ■おしらせ
 『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
 の詳しい内容は下記URLに掲載しております。ぜひご覧ください。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html
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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 2000
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