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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■                第4号 99.7.15-99.7.21
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。HP更新情報、マンガ製作日誌、人文系書籍の情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
井上円了と大槻教授と大槻ケンヂ/桜金造の背筋の凍る話/春日武彦と南方熊楠
/京極堂の『百鬼夜行―陰』/東浩紀『郵便的不安たち』/宮台氏・宮崎哲哉氏
のM2対談

■99.7.15

バーチャル伊丹堂を更新しました。コーナーの構成を変えて、時間順に配置しま
した。「本の持ち込み」はコーナーとしてはなくなっちゃいましたが、「伊丹堂
で話す」に一本化したということです。引き続き、本の情報をよろしくお願いし
ます。
バーチャル伊丹堂
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/index.html

今回は、前回、登場キャラへの質問に答えたものにさらにコメントをいただいた
ので、それに答えるものです。前回のもあわせてご覧いただけると幸いです。っ
てわけで、質問・コメントをくださった鈴木さん、ありがとうございます。(そ
れにしても今回、ちょっと伊丹堂が、調子に乗って飛ばしすぎ。はっきり言って
オレ責任とれねーよって感じですが…)

なんか私と鈴木さんの往復書簡状態になってますが、ぜひ他のみなさまもご参加
ください。伊丹堂入り口にも明記してますが、質問・意見などなんでも結構です。
また『オムレット』に関連したものである必要もありませんので、よろしく(と、
言ってながら、なんなんですが、掲載までにかなり時間がかかると思いますので、
ご了承ください…)。

■99.7.16
以前、お知らせしましたメルマガ「こざる図書館」さん、『オムレット』他広英
社の単行本プレゼントが掲載された第20号が配信されました(『オムレット』
についての軽妙な短評も掲載されてます)。とってない方はHPのバックナンバ
ー等でごらんください。
「こざる図書館」
http://www.netpro.ne.jp/~banana/index.htm

■99.7.17
昨日の『驚き桃の木20世紀』で妖怪学の「井上円了」についてやってました(
明治の大槻教授と呼ばれる?哲学者です。いろんなとこへ出かけちゃ、超能力や
霊現象がインチキだと主張して歩いた人。哲学堂公園はこの人が作った)けど、
いままで「妖怪殺し」をするとんでもない奴だと思ってましたが結構好きになり
ました。これは大槻教授が好きというのと似ている(ちなみにこの番組、バカの
ひとつ覚えで大槻ケンヂを登場させてましたねー)。「この世には不思議という
ものはないのです」というのは京極堂だが、では「この世」そのもの、そしてそ
の「この世」を分かっている我々の心が、なぜ「ある」のか?――ということは
「不思議」としての残される。井上円了のいう「真怪」もまたそーいう意味での
フシギのことでしょう。そういったフシギにかかわろうとする「志」があるかど
ーか、これが私の「好き・キライ」の分かれ目、大槻教授は好きだけど、大槻ケ
ンヂはキライっていう規準ですねぇ。ちなみに妙木浩之さんの『心理経済学のす
すめ』って本、なぜか中心が「妖怪論」になっていて、井上円了の話も出てきま
す。それによると、なんと「心理療法」という言葉をはじめて使ったのは井上円
了だそーです…。
大槻/大槻問題?については
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas21.html#pre
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas23.html#0119
などなど。

妖怪といえば(というか妖怪とは関係ないけど)、このまえ紹介したプレステの
『稲川淳二の恐怖の館』、これはヒドい。稲川淳二の「怪談」が聴いたことある
のばっかりというのはしょうがないとして、途中で挿入される「読む怪談」(テ
キストが表示されるだけのもの)、これが稲川の怪談とはまったく関係のない、
単なる二流作家の書いたとおぼしき「怪談ノベルス」。なんでこんなのをえんえ
ん読まされなくてはならんのか、とハラが立つ。

お口直しはリイド社からでてる文庫本の『桜金造の背筋の凍る話』。これ、ほん
とに寒気がする。この暑いのに、だよ。とくに「恐い」話ではないんだけど、こ
の人の話すことの「異質感」「異化効果」みたいなものだろうか(たしか前に中
田監督の映画についてもそんなことを書いたけど似たようなテイストなのだ)。
この人の話って、「見えた系」の話が多いんだけど、その「見え」を文章から想
像してみると、気持ち悪くなっちゃうのだ。なにか「気持ち悪いモノ」が描かれ
ているから気持ち悪いのではなくて、その描写に従って(それをヨリドコロにし
て)その「見え」を再構成しようとしても、どうもうまくできないその「できな
さ」が気持ち悪い。ひるがえって、その「できなさ」の先にある「対象」が「気
持ち悪い何か」として浮かび上がってくる…と言えば、ちょっとは伝わるでしょ
うか。サルトルの「嘔吐」みたいなもんか。
中田監督については
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas28.html#0518

怪談といえば、先日紹介した春日武彦さんの『屋根裏に誰かいるんです。』って
本で、都市伝説として『新耳袋』についてコメントしていた。『新耳袋』は通常
の怪談に比べて話が中途半端で、だからなんなんだっていうような話が多いって
いうことなんだけど、もちろんそれを批判しているのではなくて、そこにこそ都
市伝説の「原型」みたいなものを見ることができるという意味で評価するという
ことだった。しかしそもそも『新耳袋』の著者がそう「意識」して作っているの
だ。つまり、お話というものは、伝わっていく中で必ず尾ひれが付いて、もとも
との話とは違った意味合いを持っていく。特に怪談的な都市伝説では、この尾ひ
れが「因縁話」的な説明であったり(誰それのたたりであるうんぬん)、「心霊
科学」的な説明であったり(いわゆる地縛霊がどーの、うんぬん)して、そもそ
もの最初の話の言いしれぬ怖さ・不気味さ(異化効果をかもし出す何か、とでも
いうか)が失われてしまう。これに対抗するために出来るだけ「原型」的なハナ
シを採取しようというのが、『新耳袋』のコンセプトなのでもある。

で、フト思い出したのが、南方熊楠なのだ。熊楠は民話・伝説の採取方法につい
て、できるだけ沢山の人から同じ話を繰り返し採取するということをするわけ。
なんでかっていうと、話なれた人というのが必ずいて、その人に話を聞くと、そ
の人は「ついつい面白く話してしまう」ということを、頼まれもしないのにやっ
ちゃうっていうんだね。そうすると、本来採取したかった民話・伝説じゃなくて
その人の作った「面白い話」になっちゃう。それではイカン、というわけね。娯
楽で聴くなら別にぜんぜんかまわないけど、それじゃ伝説の研究にならない。ち
なみに、これ対して柳田国男は、『遠野物語』で、伝説の採集というスタイルを
とりつつ内容的にはまったくの柳田ブンガクとでもいうべき(柳田にとっての)
オモシロイものを「創作」しながらも、平然と「民俗学でござい」としている。
つまり、こういう熊楠の態度は、実ハ柳田の「学」の態度に対する痛烈な批判、
という意味合いを含んでいるわけですね。
『遠野物語』、『新耳袋』については
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas26.html#0224

ってわけで熊楠はこの「ついつい面白く話してしまう」問題をスルドクも指摘し
た最初の人なのだ。でもひるがえって考えてみると、哲学とか科学とか、評論っ
ていうところでも、それが結果として面白いかどうかは別問題として、ついつい
「こーゆう理屈で書いた方が面白いかも」という感じで、(本来考えていた理屈
とは違うような)「その場で面白いと感じるような理屈」に、逆に書かされてし
まう、ということが多々あるような気がする。というか、私のバアイ、それで乗
せられて書いているほうが多い。困ったことである。

■99.7.18
京極堂の新刊『百鬼夜行―陰』(講談社)を購入。オビに「姑獲鳥から塗仏に至
る事件の背後に何があった?」とあって、ようするにこれまでの京極堂シリーズ
の外伝的な連作短編集なのだ。で、登場人物がぜんぶ、これまでの長編の中のわ
き役だったりって感じで絡んでくるらしいんだけど、そもそも私、主要人物以外
のキャラクターってあまり憶えていない。こんなことでこの小説を楽しめるか不
安だが(実際はそもそもの長編シリーズでも、登場するわき役たちが錯綜して登
場してきており、それを憶えていないと面白さが分からないっていうところもあ
る――つまり、私はそもそも京極の「ストーリー」をあまり面白く読んでいない
のかもしれない)、それにしても、ここまで作中人物たちにこだわるってのは何
なんだろう。

ひさびさに下村誠のライブ情報を更新しました。といっても、このヘッドライン
を見ていただいてる方と、下村のファンはぜんぜん重なってないんじゃないか?
って気もしますが、いちおう告知まで。
下村誠ホームページ
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/NATTY/shimomura.html
私の「下村誠」論(「下村誠の精神世界」)はこちら
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas21.html#works

■99.7.19
カバーが暗いので気がつかなかったけど、東浩紀さんの『郵便的不安たち』(朝
日新聞社)が出てるんですね。例によって金がないので買ってないが、前書き(
『存在論的、郵便的』発行記念講演をまとめたもの)を読むと、関心事や考える
方向が似てて、共感するとともに、なんたって東氏は、学問をちゃんとやってき
てバックボーンのある人だし、オタク系のライターでもある上に、若くてイイ男
って感じで、なんともうらやましい。内容的には、この前バーチャル伊丹堂で、
伊丹堂が、へらへらしゃべってた「精神」を巡るテーマとリンクしている、とい
えば手前味噌ですけど、ようするに「公的」なものを巡る問題ってことですか。
バーチャル伊丹堂
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/index.html

■99.7.20
きのうメシを食いながら、『HEY!HEY!HEY!』見てたら、松ちゃんが
ノストラダムスの7の月は9月で、9月9日が危ない、と言ってましたね…。や
はり分かってる人は分かってる(笑)。

 追記:22日の読売新聞によると、「電子協」というところが、99年問題で
 9月9日説は単なる俗説、というコメントを出したそうです。面白いことに9
 月9日が安全というよりは、9月の他の日となんら変わらない(危険性が)と
 いうニュアンスでした。

この前紹介した京極堂の『百鬼夜行―陰』だけど、実際読んでみたら、結構ワタ
シ的には楽しめました。それぞれに独立した心理主義小説?って感じで、これな
ら本編のシリーズを知らなくても読めるんじゃないか、と思いましたね。

■99.7.21
「新・世紀末的宮台BBS Ver5」(宮台真司オフィシャルサイト)に宮台
氏の書き込みがあって、なんでも見沢知廉『天皇ごっこ』の文庫版あとがきを書
いているそうで、「天皇主義者小室直樹師の弟子として、天皇主義の本質を徹底
的に論じ」ているそうです。ああ…めまいが。7月下旬発売だそうだから、もう
出てるかも(ウチの近所にはなかったです…)。

その宮台氏と言えば、「サイゾー」という雑誌で宮崎哲哉氏との対談を連載して
て(M2対談)、今月号では「盗聴法」についてやってました。これ読んでワタ
シ的にはうかつにもまたまたウチのHPで書いた一連の「宮台問題」を蒸し返し
そうになってしまいましたが、ノセられてはいけないのだ…。ようするに宮台氏
の言動ってその都度の「語り」であって、そこに原理的な問題の批判点を見いだ
して噛みついてみても、そこに「本質」は何もないっていうようなカタチになっ
ている。そういった「引っかかる」部分をのけていけば、結局のところ、ではど
ーやって新たな「公共性」を築いていくのか?といった問題は、共有しているの
だと思うわけです。

現実問題として、盗聴法関係で、宮台氏の行動を見ていると、正直よくやってる
なー、と感心してしまいます。私も現在のカタチでの盗聴法には反対です。と言
っても何もしてませんが、「法は変えられる」が私のモットーですので、これは
次の選挙に向けてネチっこーく、問題を持続していくしかないか、と思ってます。
(政治的な発言です。お聞き流しください。)
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■お知らせ
『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
は「心とは何か?」をテーマにした「思考する」マンガです。オムレットの詳し
い内容はこちらに掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html

「バーチャル伊丹堂」は手動掲示板です。ぜひご参加ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/index.html

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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 1999
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