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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第44号 00.7.7-00.7.22
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。人文系書籍の情報、社会時評、HP更新情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
青江三奈を悼む/「おっかね話」スタート/八雲・佐野史郎とアイルランド的無
意識/ウェブリング「考える葦」/「天守物語」礼賛/斎藤環さんのイベント

■00.7.7
遅ればせながら、青江三奈、アーン、アーン…。オレが子どもの頃(あーん、歳
がバレバレ)もう恥ずかしくて聞いてられなかったね。というより、聞いちゃい
けないものを聞いてしまったという罪の意識というか? つくづくこれを考えた
人はすごいと思う(作詞家の人のアイデアらしいが、そのオリジナリティのほと
んどは青江三奈自身に由来するんじゃないだろうか。そうでなければ、あそこま
で「堂々と」やれないでしょ、普通)。アーン、の後輩、モー娘(というより、
つんく)はどう思ってるんだろうか。この「伝承」について、ぜひ聞いてみたい
もんだ。なんたって私は「表現文化探偵団」の団長ですからねー(「表現文化探
偵」とは何か?ってことは、はからずも門屋光昭『鬼と鹿と宮沢賢治』について
の中で触れてますので、ごらんあれ。ただしことわっとくけど、表現文化探偵と
いうのは、誰は誰のパクリだとか、そーゆうせこいことをやろうってわけじゃな
いですよ)。
○表現文化探偵団
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/OP/index.html
○『鬼と鹿と宮沢賢治』について
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas34.html#0705

それにしても今しにして聞くと、アーンアーンよりも「ジュドゥビジュビドゥヴ
ァジュビドゥヴァー」の唐突さがスゴイなぁ、などと思える。しかもこのマクラ
が「恋と情けの」だ。いや、これは「ジュドゥビ…」を飛び越えて、最後の節の
「灯」にかかるのか(笑)。蛇足ながら、この場合の「情け」って、情事って意
味だ。人情の町、伊勢佐木町って意味ではないので、注意されたい(ボラれても
しらない)。

さらにくだらないことを言っとくと、この歌の出だしをオレは「♪あなた死んで
る〜」と歌っていた。誰かが流行らせたのか、オレたちだけの流行だったのかは
知らない。オレたちだけだとしたら、子どもにしてすでに「性」と「死」を結び
つけずにはいられなかったのか?、あるいは女性性のエロス(生)に対して、「
あなた」で示される男性性は「死」んでる、という直観だったのか?…などと、
うがったことを思ってしまう。

青江三奈さんのご冥福をお祈りいたします。

■00.7.13
「おっかね話」(東北弁による怖〜い話)に、さっそく第一夜の投稿いただきア
ップしました。
○おっかね話
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/TOHOG/okkane.html
(SI-TAZU PROJECTとの共同企画です。
 http://www1.linkclub.or.jp/~sitazu/
 
こーゆう話をご存じの方は、ぜひ投稿してください。

■00.7.14
先日、ETVで佐野史郎のアイルランド紀行をやったけど、見た? 小泉八雲の
ふるさとを訪ねる旅という設定で。八雲(ハーン)はアイリッシュとギリシア人
の混血で、二歳くらいから少年時代をアイルランドですごしている。つまり、「
アイルランド的無意識」(ケルト的無意識?)を血肉のものとして生きているわ
けだ。これまであまりそのことが注目されなかったけど、近年になって、そのこ
とにようやく人々の関心が向いてきたのだとか。この番組もそういったムーブメ
ントのいったんにあるわけですね。

アイルランドからイギリスへ、そして各地を転々としてつつ、途中ニューオリン
ズに立ち寄ったりして(なんと『ハーンのクレオール料理読本』(TBSブリタ
ニカ刊)なんていう料理本も出てるのだ)、最後は松江に骨を埋める。で、リポ
ーターの佐野史郎って松江出身なんだね。どうりで妖怪っぽいわけだ。それはと
もかく、このテレビで見る限り、松江とアイルランド(ダブリン)って、そっく
り。川がどーんと街のまんなかを流れていて、空がどっぷりと曇っていて低い。

私も松江は行きましたよ〜、水木しげるの故郷、境港に行くついでに。当然のご
とく小泉八雲記念館(となりに八雲の旧居あり)も行ったのだけど、ものを知ら
ない悲しさ、八雲記念館があると知ったのは、旅に行く前日のことでした。で、
松江に向かう夜行列車でオレは京極堂の『塗仏の宴・上』を読んでたのだけど、
唐突に八雲の『怪談』についての話がでてきたので、おっとびっくり、これもな
にかのシンクロニシティか、などと思っちゃいました。

さて佐野史郎のアイルランドレポートでは、なんと「語りの家」なるものが登場
して、いまだにアイルランドの人々は、月に何回か集まっちゃ、昔話や、だぼら
話をする集会というのをやっているのだという。まさに「伝承の語り」ですね。
ちょうど上↑にも書いたように、我らが東北系HPでも、伝承の語りによって「
岩手県的(東北的)無意識」を伝えようという試みの第一弾として?「おっかね
話」(東北弁による東北の怖〜い話)の企画を始めたところだった。これもまた
偶然の一致ですね〜。なんか佐野史郎やハーンにまで励まされている気がする(
妄想です)。東北出身の友達がいる方、ぜひこの企画を教えてやってください。
また、東北以外の方、どーしても文章の意味が分からん、という場合は、お気軽
に私までおたずねください。分かる範囲でお答えします(東北といってもいささ
か広いので、すべてには答えられませんよ)。

追記:ところでこの企画を思いついたのは、先日『新耳袋・第五夜』が出たので
読んでたのだけど、その中で、著者たちの「語り」が「上方落語の記憶」による
ところが大きい云々という話があって、それがきっかけだった。向こうが上方な
ら、こっちはトーホグで行こうじゃねーかというわけだ。ところで、彼らの原点
が上方落語というので思い出すと、私は「稲川淳二の怪談ナイト・ライブ」につ
いてのコメントで、稲川が伝統的な話芸の流れの中で「現代の怪談」を完成させ
ているのに対して、「新耳袋」の方は伝統的な話芸とは異なるところで「現代的
なクールな語り」を作っているのではないか、などと勝手な憶測を書いていた。
つまり本人たちが、その「クールな語り」の背景には「上方落語」あり、と言っ
ているわけで、私のコメントはとんでもないマチガイ、という感じになってしま
うが、でもオレにはそれが意外というより、なるほどと思える。つまり「上方落
語」の洗練された都会的なセンスからその「クールな語り」へという流れはごく
自然だということね。逆に、オレがそこで「伝統的な話芸」と言ってイメージし
ているのが、現代から見て落語が「伝統」的芸能だというような意味ではなくて
そのように制度化される以前の、「庶民の民間伝承」としての「話芸」とでもい
うべきものだったって、ことなんだろう。話がうまい近所のおじさん・おばさん
の世界だね。その稲川淳二についてのコメントにも書いたように、オレにとって
は、そういう語りの世界は「岩手県的無意識」として分かちがたく結びついてい
る(まぁこっちは聞くだけだが…)。さっそく戴いたWさんの投稿は、そういう
雰囲気がすごく出てます。東北以外の方もお試しに(声に出して)読んでみてい
ただきたい。アイルランドの語りの家の「感じ」も体験できるかもよ。

○「稲川淳二の怪談ナイト・ライブ」について
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas31.html#0914

■00.7.16
「Synapsis Link 考える葦」に登録していただきました(トップ
ページ中央にリンクがあります)。
http://www.sh.rim.or.jp/~artemis/Webring.htm

これは、簡単に言えば「自分のアタマで考える人たちのHP」リンク集といった
ら分かりやすいんだろうか。ウェブリングというシステムで、登録サイトを巡回
できます。こういうジャンルってなかなか見つけられないものだから、これ作っ
たアルテミスさんには感謝、というより敬意を表します。前に池田晶子さんの「
爆弾たちのネットワーク」という考えを紹介したことがあったけど(ヘッドライ
ン31号→http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/HEAD/head31.html)
ちょうどそんな感じになるだろうか。というより、そういうものになっていけば
いいと思う。ぜひこのリンクサイトもご覧下さい。

■00.7.20
このところ強烈に仕事が忙しくて更新してませんでしたが、一段落ついてこの日
海の日は、NHKの劇場中継「天守物語」をやってたので、昼間っから「あっち
の世界」にぶっ飛んでました。天守物語っていったら、鏡花の超美麗妖怪絵巻(
なんか妖怪づいてますが…)といってしまえば、なにやら軽い感じもしちゃいま
すが、これ、ホント、とんでもない大傑作です。もちろん主演の玉三郎・新之助
もイイのだが(それが見たいばかりに劇場へ押し寄せた方も多いのでしょう、そ
れもまた良しですが)、あくまでこの神髄は脚本のスゴサ。脚本があまりにスゴ
いために、玉三郎・新之助といった、神々の化身(っていうか、ここでは妖怪の
化身ってことになるのか…)のごとき人々というヨリドコロなくしては、その世
界を実現できなかっただろう、そういう意味でこの役者には感謝と喝采をお送り
する、というようなもんです。ではこの物語のスゴサって何なのか?!、そんな
こと簡単に教えるわけにはいかないが、よーするに「真・善・美」の世界を、「
内側から」示しているってことでしょう。現象学的に言えば「内在」、「本質直
観」ってことですね(ヘッドライン40号、佐藤直樹さんの『どんづまりの時代
の眠らない思想』についてのコメント参照)。「内側からわかる」ということを
単に説明的に表現するのではなくて、まさにそれを観る人にとっても「内側から
わかる」体験を引き起こすがごとき表現。その奇跡的な成果のひとつがアサノの
『孔雀』って映画だということはその佐藤さんの本についてのコメントや、ウェ
ブマガジン31号
の映画評に書いておきましたけど、まさに鏡花が「妖怪」とい
う出し物を使って表現しているのもそれです。いずれの作品でも、「内側から分
かる」ということとはまったく異なる、単なる機械的・制度的な理解としての「
世間」ってものが対立的に描き出される(これを現象学的には「内在」に対して
「超越」と言う)。しかし『孔雀』が、あくまで内在的な「感覚」にこだわるの
に対して「天守物語」が描くのは、同じく内側から分かると言っても「真・善・
美」といった「象徴的レベル」の事象だ。人界をはるかに超越した(こっちはホ
ントの「超越」ね)もののけの「恋」を通じて描かれる「ほんとう」の真実、そ
して美。それは危ういまでに絵空事と紙一重の世界でもある。しかし、我々が生
きるとは、まさに「虚構をいかに生き延びるか」でもあるのだ、と、この奇跡の
ような作品は、内側から訴えてくる。まぁとにもかくにも見逃した方は、ちくま
の鏡花全集を読みつつ、この絢爛豪華絵巻を空想していただきたい。またテレビ
じゃなくてホントに劇場で観たもんね〜という果報者は、私にメールなどで自慢
を披露してくだされ。

■00.7.22
【特報!】斎藤環さんのイベントが開催されます!

ロフトプラスワン▼NIGHT TIME SCHEDULE
8月1日 火曜日
開場18:30/開演19:30

●料金システム→テーブルチャージ(お通し)\600+ドリンク\500から

 ■斎藤環プロデュース
 「戦闘美少女 vs ひきこもり」
 「おたく文化」と「ひきこもり」の可能性の中心を精神分析する
 【出演】斎藤環(精神科医)、山登敬之(精神科医)、
 伊藤剛(ライター/鉱物愛好家)、岩田紀美子(「とびらの会」主宰)、
 竹熊健太郎(編集家・漫画評論家)、小谷真理(批評家)(以上決定順)

ぜひ行きましょう。これに先だって東浩紀さんのサイトで、斎藤さんや評論家の
竹熊さんなども参加して『戦闘美少女…』についてのメール討議がおこなわれて
おります。前号のヘッドライン(43号)でついつい私、東さんの書評に噛みつ
いてしまいましたが、きちんとこういう場で議論がおこなわれているところだっ
たんですね〜(失礼しました…)。

○メール書評(東浩紀公式ホームページ内)
http://www.t3.rim.or.jp/~hazuma/project/sento/sentoindex.html
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 ■おしらせ
 『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
 の詳しい内容は下記URLに掲載しております。ぜひご覧ください。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html
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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 2000
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