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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE
■■■■■■ ひるますヘッドライン
■ ■■ ■               第46号 00.9.2-00.9.15
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 ひるますヘッドラインは、ひるます掲示板のコラムをほぼ一週間分まとめた
 ものです。人文系書籍の情報、社会時評、HP更新情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
臓器移植法、改正への動き/ドラマ「一絃の琴」/宿命とは何か〜美輪明宏/「
マンガ・心の授業」/「別冊東北学」/文庫版「狂骨の夢」

■臓器移植法、改正への動き(00.9.6)
臓器移植法ですが、改正案が正式に提出されるなど、いよいよ改正へ動き出して
ます。危惧していたとおり、本人の意思がなくても家族の承認のみで臓器をとり
だせる、という方向の案となりました(15歳未満についてではなくて、成人一
般に対してもそうするという、なし崩し的な改正です)。これに対して、「世界
」10月号に森岡正博さんの改正案批判が掲載されました。ぜひご覧ください。
またこれに先だって毎日新聞に掲載された「大切な「本人の意思」原則」(9/
4)というコラムは、すでに森岡さんのサイトに転載されています。これを読め
ばこの改正案の問題点がよく分かると思いますので、ぜひご覧ください。
http://member.nifty.ne.jp/lifestudies/library01/noushi04.htm

あと、ウチの移植法ページのリンクに
○yukikoさんのお星さま
http://www.geocities.co.jp/PowderRoom-Rose/3711/
を追加しました。ソーシャルワーカーの方のHP。論文「「脳死の人」の看取り
と、死別後の家族の援助について」が掲載されてます。またここは「内から自分
をつくる演習のページ」ということで、表現をめぐるさまざまな試みがなされて
ます。すばらしい。

■ドラマ「一絃の琴」(00.9.8)
かなりに遅ればせながら、田中美里主演のNHKドラマ「一絃の琴」について書
きました(「臨場哲学」34号)。ほとんどケータイのテンキーで打ち込んだの
で文章がダレてます。そのうちヒマがあったら書き直しますので、よろしくご覧
くださいませ。テーマは「孤独」だ!
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas34.html#0908

追記:時間がなかなかとれず、ケータイで打ち込むという苦肉の策をとってます
が、これって文章が下手なことの言い訳にもなるから便利だね(笑)。

■宿命とは何か〜美輪明宏(00.9.10)
この「一絃の琴」についての文章の中で、「宿命」について触れてるところがあ
るんだけど、たまたまちょっと前のNHKの「N響アワー」とかいう番組に美輪
明宏が出てて、「宿命」と「運命」の違いについて語ってて面白かった。美輪様
によると、運命は努力しだいで変えられるもので、宿命は変えられないもの。さ
らに言うと、宿命は「生まれる前に自分で描いてきた人生の青写真」だというの
ね。これは非常に共感する。

生まれる前に、それぞれの魂は自分がこの世でなにをなすかを自分で選択して決
定して生まれてくるのだ、という言い方はニューエイジの人々(失礼!)はよく
言うので、その伝だと言えばそれまでだけど、私が考える「宿命」ってのは、よ
ーするに自分でも、他人でも、神サマでもないかぎり「なんでそのコトに関心事
を抱くようになったか」分からないけど、結果的にはそうなってしまったという
ものなので、結果的に「自分でそう決めて生まれてきたんだ」と言っても同じこ
とだという感覚がある。というより、それほどに強く、不可解なまでに自分をそ
のような方向に押し進めるものが「宿命」だと思う。逆に言えば、自分の意識せ
ざる魂が決定したのだとでも言わないとナットクのいかないほどの力でなくては
「宿命」とは言えない。環境の要因だとか、親がどーこうでどういう地域に育っ
たから、なんてもんで「説明」がつくようであれば、それは「宿命」などではな
いってことも言える。

美輪様のようなまっとうな「精神世界」のコトバを聞くたびに、ふと先回りをし
て「こーいうコトバを聞くとすぐに胡散臭いとか妄想だとか言って否定しにかか
る人がいる」ということが頭をよぎるが、しかし、結局そんなことは大したこと
ではない。カンジンなことは、人には宿命としか呼べない「リアリティ」がある
ということであり、それを「説明するコトバ」は実ハどうでもいいとさえ言える
(どうでもいい、と言うより、どちらでもいい、と言ったほうが正確か。つまり
その「リアリティ」をナットクするに際して、ほぼ「等価」だ、ということ)。
要するに「宿命」について理解することではなくて、自分の宿命を見つけている
か、それを生きているか、という実存が問題なのだから。
○なんども引き合いに出すけど「宿命との遭遇(エンカウント)」については、
 映画『孔雀』について、に書いてます。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/WEBZIN/hirumas31.html#0924

■「マンガ・心の授業」(00.9.13)
三森創さんの『マンガ・心の授業』(北大路書房)っていう、マンガで心とは何
かを解説する本(ん?どっかで聞いたような…)が出てるんだけど、ご存じでし
たでしょうか? 結構ウチの近所のリブロじゃ平積みにして売ってるんです。こ
の三森さんって『プログラム駆動症候群』って本書いた人で、ちょっと気になっ
てたんで、このマンガ(なんと本人が自分で描いてます)が出たときは、「オッ
やってくれたな」と思いながらも、あまりに『オムレット』とテーマがかぶるの
で、ここでは紹介してませんでした(せこい…)。

で、きのう久々にリブロに行ったら、あいかわらずこのマンガ、平積みで置いて
て「売れてるんか、くやしい」(笑)などと思いつつ、心理コーナーの棚を見た
ら、なんと珍しくも『オムレット』がおいてあって、しかも三森さんのマンガと
並んでいるじゃあーりませんか。この並べ方はうれしい。だって『オムレット』
って流浪の本っていうか、どこ置いたらいいか分からないという居場所のない本
だったからねー。これで何か落ち着く場所ができたって感じ。似たものどーしっ
て感じで。そういう意味では三森さんに感謝。あとこーいうふうに並べた店員さ
んね。リブロ、サイコー。

追記:と言ったものの、『心の授業』は確かに心理学だろーが、『オムレット』
ってやっぱり心理じゃないよな…。

■「別冊東北学」(00.9.15)
ところで久々にリブロに行ったのは、こおにさんの掲示板で、『別冊東北学』と
いう雑誌が出たのを知り、すわとばかりに駆けつけたのだった。『東北学』とい
う雑誌についてはここで何度か取りあげてますが、民俗学者・赤坂憲雄さんの主
催する新たな民俗学を創造する雑誌。その別冊版ということでフィールドワーク
を中心にしたものになるようだ(フィールドワークというと堅いイメージだが、
ようするに現場にでてって、東北に生きる人々の「記憶」を鮮やかに描き出そう
というもの)。で今回の特集はなんと「婆さまの現場から」。…東北のお婆さん
たちの記憶を描き出す試みです…。すごい。
○こおにの掲示板
http://www60.tcup.com/6005/kooni.html
○赤坂さんと東北についてはヘッドライン22号にあります。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/HEAD/head22.html

■文庫版「狂骨の夢」(00.9.15)
京極夏彦の『狂骨の夢』文庫版が出てます。同時に出てる講談社文庫の情報誌『
IN★POCKET』が「やっぱり京極夏彦はすごい」という特集を組んでいて
それによると相当に加筆があるみたい。『京極夏彦の世界』って京極本で、斎藤
環さんが精神分析の立場から『狂骨』批判をしてたので(『狂骨』は精神分析が
重要な要素になっている)、それを踏まえたものになってんのかな(笑)。

それにしてもこの文庫版、山田正紀さんが(なつかしや、昔は愛読してました…
)解説を書いていて(『IN★POCKET』の特集でも野崎さんと対談してま
すが)、京極夏彦の「リアル」について語ってて、面白いというか、まったく同
感。京極の描くリアルとは、現実そのもの、客観的事実そのもの、ではなく(そ
のようなモノは存在しない)、個々の生命がいやおうなくそれぞれの内側から創
り出してしまうようなリアリティだということだね(手元に本がないのでオレの
言い回しになってますが)。それゆえ京極堂の仕事は、事件の客観的な関係をあ
ばきだすことではなく、事件に関わった人それぞれの、自らも意識せざるリアル
を明らかにすることなのだ。それは「解釈」などという生やさしいものではなく
本人がまさに「内側から」ナットクできるコトとして示されてはじめて、当の本
人にとってのリアルとなる、そういうものとしてある。山田さんによれば、ミス
テリーの世界において、そのようなものとして「リアル」を描いたのは京極がは
じめてであり、まったく画期的な存在だという。私はミステリーのことはよく知
らないが、ミステリーうんぬんというよりは、一般の人間に向けてそのようなコ
トを語ったという意味において、非常に重要なコトをなしたのだ思う(『オムレ
ット』もある意味では京極がいなかったら、描かれなかっただろう。…ぜんぜん
似てない似顔絵でもってその敬意を表してはいるんだけどね)。

追記:その斎藤環さんだけど、発売中の『大航海』10月号、「超・教育」とい
う特集の中で、宮台真司さんと対談してます。内容は…なんか斎藤さん、宮台氏
に話あわせすぎなんじゃないかって気もしますが。たとえば斎藤さんの言う「性
」の問題は宮台氏のいう「包括的承認」うんぬんという話とそんなに一致してし
まうようなものではないと思うんだけど。
 他にこの特集では、野矢茂樹さんの「「分かる」ということ」が面白い。オレ
もよく「内側から分かる」なんてことをテキトーに使ってますが、そもそも「分
かる」、つまり分からなかったことが分かるようになるとはどういうことなのか
哲学的に考察した論文。分かるとは他者の理解の仕方の中に入っていって自分が
変容すること、また分かるということは、アナロジーによって捉えるということ
でもあるが、そのアナロジーは論理的(言語的)なものではなくて、「身体の可
動性」、身体感覚によっているという。これってほとんど『小脳論』!
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 ■おしらせ
 『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
 の詳しい内容は下記URLに掲載しております。ぜひご覧ください。
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html
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 発行者:堀込広明  (C) HIRUMAS 2000
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