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■ ■■ ■ HIRUMAS HEADLINE WEEKLY
■■■■■■ 週刊ひるますヘッドライン
■ ■■ ■                第8号 99.8.12-99.8.18
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 ひるますヘッドラインは、ひるますHP冒頭のコラムを一週間分まとめたもの
 です。HP更新情報、マンガ製作日誌、人文系書籍の情報、身辺雑記などです。
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■今週の主な内容
竹田青嗣『世界という背理』/「遠い戦争近い戦争」/菅直人/アイタル通信/
于論茶さん「盗聴法」と「公」/ペータ『BUS DRIVER』

■99.8.12
またまた更新があいてしまいました…。こういうのってやはり一種のヘキで、一
回休んじゃうと、カラダがそうなっちゃうんでしょーね。

■99.8.13
この前図書館で借りた本で、だいぶ以前のものだけど、竹田青嗣さんの『世界と
いう背理――小林秀雄と吉本隆明』が面白かった。80年代のニューアカ、フラ
ンス輸入現代思想ブームですっかり「古くさいもの」にされてしまっていた「小
林秀雄と吉本隆明の思想」が、いかにスルドクも深いものだったか、ということ
を書いた本。この本自体、88年の刊行で(つまり10年以上前ってこと!)こ
んなことを書いていたのかと驚いてしまう。というか今にして竹田さんのいうこ
とがよく分かるのであって、当時この本を読んでもさっぱり意味がわからなかっ
たんじゃないか?とも思う。手前味噌で言えば、『オムレット』の「コトの創造
」モデルを通してはじめて、竹田さんの解釈する吉本の言語思想を納得して理解
できるし、また考え方のあまりの近さに驚くのだった(オウムがらみでは、ウチ
のHPでさんざん吉本批判とかしてましたけど…)。あとここで紹介されている
小林秀雄の「美」についての理論は『小脳論』にも一致するものであり、それも
興味深い。竹田さんが『小脳論』をどう読むかってことも、おせっかいにもまた
興味深いものがある。

■99.8.14
図書館で新聞のバックナンバーを調べてたら、朝日新聞の8月10日〜11日夕
刊に宮台真司氏と鈴木隆之氏(建築家にして小説家)の対談「遠い戦争近い戦争
」が載っていた。例によって宮台氏とは根本的なところで考え方が違うと感じる
が、現状分析的というか、現実対応的な、レベルではまったく一致する。とくに
今回の対談では、公というものを単なる「共生のためのルール」から、一歩踏み
込んで、その実現には「思考する主体が不可欠」とする発言があり、さらに接近
したという感じ。

まったく別件で図書館に来ていたのだが、ふと書架を見てたら小室直樹氏の『天
皇の原理』(文芸春秋社、93年刊)が目に付いたので借りてきた。これも宮台
氏がらみ(ヘッドライン6号参照)。

そのヘッドライン6号でふれた「中坊的」公権力奪取については、いま発売中の
「文芸春秋」9月号で菅直人が『なぜ中坊さんを首相に推したか―わが国民主権
革命』という文章を書いてます。ほんとうにそう思ってるなら、牛歩なんかやっ
てないで、この思想に殉じてほしいと思うほど、ここにはギャップがあるけど…。
でもようするに「思考する主体」「責任を引き受ける主体」としての国民、なる
ものを政治的なレベルで実現するような政党がなくてはならないのは、事実だ。
民主党がどーとかは別として、こういう考え方はつぶさせてはならないと思う。

■99.8.15
先日オムレットの書評を掲載・プレゼントをしていただいた「こざる図書館だよ
り」第22号で、そのプレゼントに当選した方からの『オムレット』感想メール
が掲載されてます。読んでくれてほんとうにありがとうございます!(あっ、も
ちろん買って読んで下さった皆様には、もっと厚く御礼申し上げます。…なんか
ついでみたいでスイマセン)
こざる図書館だより
http://www.netpro.ne.jp/~banana/index.htm

追記:それにしてもこの第22号で、こざるさんは岡林みかんさんの『無果汁1
00%』(角川書店)を紹介してるんだけど、そのコメントで「『こざ図』創刊
以来初の漫画紹介」と書いてる。え?『オムレット』はマンガじゃなかったの?
これってイイ意味にとるべきなのか、う〜ん…。

■99.8.16
ある方より『アイタル通信』について問い合わせがあって思い出したが、長らく
このコンテンツを更新してませんでした。というか、あまりにも更新するだけの
情報が入ってこなくなっていたので、一応休止サイトあつかいにして、下村誠H
Pからのみ見れるようになってたのでした。これを機に関係者に聞いてみると、
私が知らないだけで、実はイロイロと新たな動きがあるようなので、詳しい情報
が入り次第、更新していきます。
現時点で『ひょうたんから高麗』、次回の開催日が11月13日〜25日の予定
になってます。
アイタル通信
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/NATTY/italtushin.html

■99.8.17
ウチのHPでもちょくちょく御紹介させていただいてる「于論茶」さんのHPの
掲示板で、「盗聴法」について東浩紀氏の記事へのコメントがあって非常に興味
深い内容なので、その出所などを質問したところ、于論茶さんから「公」をめぐ
る思想的な流れについて、貴重なご教示をいただきました。これは本当にうれし
かった。他にも非常に興味深い話題が(いつものことですが)書き込まれていま
すので、ご関心のある方は、ぜひご覧下さい。
于論茶ホームページ
http://www.uroncha.com/index.html

下村誠のNATTYニュースを更新しました。ジャパニーズラスタマン「梶田イ
フ」とのジョイント全国ツアーも決定してますので、追ってライブ情報も掲載し
ます。
下村誠ホームページ
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/NATTY/shimomura.html

広英社の広告用バナーを作ったので、ウチのHPにも貼り込んでみました(トッ
プページ上段)。

■99.8.18
昨日予告しておいた、下村誠HPのライブ情報を更新しました。ちなみに今回は
ずーっと梶田イフとのジョイントになるみたいだけど、イフさんについては下村
誠HP内のトーキング・アウトのページや、私らが前に出してた雑誌「G・U」
の第3号にもインタビューが載ってます。内容はアジア無銭紀行みたいなもんだ
けど、この当時まだ猿岩石は出てなかったんだよね…。
雑誌「G・U」バックナンバー
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GU/Aveindex.html

ちなみにウチのサイトがおしているもう一人のアーティスト、ペータの方もライ
ブ情報を更新してますので、こちらもよろしく。ペータはいまセカンドCDを作
成中で、そのジャケット画像が手に入ってから更新しようと思ってましたが、ラ
イブの方が近づいているので、とりあえずライブ情報のみの更新です。このニュ
ーアルバムのタイトルは「摩神の湖」。「魔神」の誤植じゃなくて、摩周湖の神
ってことだそーです。
ペータHP
http://www.peta.cx/index.htm

実ハこんかいのCDのジャケットのDTPを手伝ってて(いちおうワシの名もク
レジットされるのでゼヒ買ってね)、いちはやくナカミを聞くことができたんだ
けど、傑作です! 個人的には下村さんとのジョイントなんかで、ずーっと聞い
ててCDにしてほしいと思い続けてきたのが、やっと出来たっていううれしさも
あるんだけど。この中でのお気に入りはなんと言っても『天使よ速く』と『BU
S DRIVER』の2曲。

『天使よ速く』は、曲はもちろんだけど、タイトルがいいでしょ。早く、じゃな
くて、速く、これは「天使とは速度である」という天使論的にも正しい語法なの
だ(笑)。もうひとつの天使論的に重要な曲、下村の『虹の箱船』とあわせて、
必聴の一曲でしょう。

 オマケ:ちなみに私の天使論の典拠は山口實の『生命のメタフィジックス』(
 TBSブリタニカ)。ここに出てくる「メタ・アントロポス」を「天使」と読
 み替えて使ってます。稲垣良典さんの『天使[論序説』(講談社学術文庫)も、
 ほぼ同趣。

『BUS DRIVER』は、バス運転手の父親の恋物語から、自分の物語へと
いう接続を歌った情感たっぷりの歌。自分が知らないハズの父の物語が、なぜか
「懐かしく」響いてくるのがフシギな曲なのだ。斉藤環さんの『文脈病』(青土
社)に「回帰する学習2」というベイトソンや高野文子を扱った論文があって、
それを読んだ時に、私はこのペータの『BUS DRIVER』を思い出した。

ここで論じられている高野のマンガ『美しい町』もまた、僕らの親の世代の話で
彼らがこれからやってくる未来(つまり現在)について語るシーンがあり、それ
がやはり言いしれぬ程「懐かしい」というのだ。なぜそれが僕らにとっても「懐
かしい」のか?―そういう疑問を斉藤さんは、独自のヒステリー論で解読してい
るが、斉藤さんの文章が面白いのは、それをいわゆる「精神分析的に」料理して
ハイお終いっていうことではないってところだ。

ここでもこのような郷愁は人間のヒステリー者(ラカン的には「普通の人」の意。
我々は外界に生み出されたことが「外傷」となって、宿命的に「自己の起源」へ
の問いに駆り立てられている、という意味で、すべてヒステリー者なのだ、とい
う)としての在り方から来る構造的なものだという図式が示されるけれど、だか
らノスタルジーは単なる「幻想」だとか、虚構だといって終わりになるのではな
い。そこで見いだされるのは、例えば高野の「人が記憶するということへの愛惜
」であり、「記憶と幻想に依らずして我々の生は枯れるほかない」という「ヒス
テリー的な生き方」への肯定である。この肯定感に、ちょうどペータの『BUS
DRIVER』が重なって聞こえてきたのだった。

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■お知らせ
『オムレット〜心のカガクを探検する』(心の科学研究会G.N.C./ひるます著)
は「心とは何か?」をテーマにした「思考する」マンガです。オムレットの詳し
い内容はこちらに掲載しております。ぜひご覧ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html

「バーチャル伊丹堂」は手動掲示板です。ぜひご参加ください。
http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/GNC/index.html

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