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「小泉内閣を雑談する」号


■CONTENTS
藤代個展感謝中尾幸世さ〜ん!小泉内閣を考える控訴せず政府声明について

■感謝、感謝(01.5.13)

お陰様で、藤代京子初の個展「気配(kehai)」は、大盛況の内に終了させていただきました。たくさんの方々においでいただき有り難うございました。これからもよろしくお願いいたします。

■中尾幸世さ〜ん!(01.5.18)

いや〜びつくりしました。ひるます大感激っす。
先日のNHKアーカイブスで佐々木昭一郎さんの作品「夢の島少女」ってドラマ(映像詩)が再放送されたのです。佐々木昭一郎っていったら「四季〜ユートピアノ」。「私をインスパイアしたもの」ってとこに書いておきましたが、この作品ははっきり言って、私の人生を崩壊させたくらいの超絶最高作品。

「夢の島少女」は「四季…」に先立つ作品ですが、私は未見。これは絶対見ねば…というわけで、テレビにかぶりついたのですが、私にとっては、この作品それ自体より、番組の冒頭と最後にインタビューの形で登場された中尾幸世さんが、 もう衝撃!でした。中尾さんは「夢の島少女」「四季…」以下一連の佐々木昭一郎作品に主演されたあのちょっとナチュラルな女性ですよん。

なんといっても、佐々木氏の「俳優を職業にしない生活者」を使って作品を創るという主義のとおり、佐々木作品以外ではゼッタイにお目にかかれない方でしたので、まさか本人が、素の状態で登場するとは思ってもいませんでした〜。

その中尾さんですが、なんとも若々しく、お美しい。当時は決して美人ってタイプではなかったけど、当時の清楚なピュアな雰囲気ってのが、あの「四季…」より二十年を経てそのまま濁ることなく、しかもたくましい美しさに成長していった、あるいは深みをましていった、という感じで、私ゃ、一目でぶっ飛んじゃいました(しかし佐々木作品を知らない人にはなんじゃそれ?って話になってるなあ〜)。

このインタビュー、なんていったっけあの年輩のNHK女性アナが進行がとてもうまくて、もうまるで「おしゃれ関係」。「今はなにをなされてるんでしょうか?」と、ワシらの聞きたいところに手が届く。しかも中尾さんにイヤな思いをさせたくないというワシら中尾フリーク(笑)の気持ちまでをも察したごとくの気づかいにあふれた聴き方で。…そういや佐々木氏からの手紙を読むシーンなんてそれこそ「おしゃれ関係」そのものではあったな、シャレじゃなくて(笑)。

まあカンジンの「夢の島…」の方は、あまりに「つげ義春」しすぎってのと、「四季〜」の記憶が強烈すぎて、ちょっと乗れないというか、いまの自分自身の時間感覚とはちょっとずれてるかな〜って感じでしたが。なんか私のバアイ、「四季〜」以後の作品見ても、やっぱ「四季〜」なんだよね。

それはともかく、さっそくにネットで検索してみれば、中尾幸世ファンサイト(微音空間 中尾幸世)があ〜るじゃないすかっつっっっっっ!!このファンサイトには掲示板があって、この番組で中尾さんを思い出した方、初めて知った方たちがどっと押しかけております。こんなにたくさんの方に愛されてるんですね〜、中尾さんと佐々木作品。他人事ながら、よかったわん。

ばんざ〜い、中尾さん〜。

■小泉内閣を考える(01.5.23)

獏迦瀬: スゴイ人気っすね。小泉内閣。ぼくら「 政治を気にしてみよう!」なんてキャンペーンに参加してますが、キャンペーンするまでもなく「気にする」人は激増してるって感じですよね〜。
伊丹堂: まっコトの是非はともかくとしてな(笑)。なんたって「気にしてる」人の何割かは「田中大臣をいじめるな」なんて言ってる輩のようじゃからの。
獏迦瀬: ああ、あれですか…。でも何割もいないでしょ、そんな人。結構まともな関心を引き起こしてるような気もしますがね。
伊丹堂: たしかに構造改革うんぬんがどうこうというより、国民に対して「政治」ってものがなんなのかを印象づけているってことは評価すべきじゃな。すでに「小泉総裁誕生」の時点で指摘しといたことじゃが。
獏迦瀬: よ〜するに「政治」ってのは、「世の中」に対する超越的な介入ってことでしたね。官僚機構っていうか「行政」ってのは、そもそもそういう「政治」のための道具なのに、惰性的に自動化しちゃって、それ自体「世の中」の最たるものになってしまう。そこにそれこそ「政治」的に介入しようというのが、小泉内閣と言うわけですね…。
伊丹堂: もうイッコ大事なのは、そのプロセスじゃな。どんなに「正しい」理念や理想を掲げようと、それが独善的なものであってはならん。「政治」的介入と言ったって、例えば亀井氏的な?予算ぶんどりだって「介入」には違いないわけじゃからな(笑)。
獏迦瀬: 議論による合意と納得が必要だということですよね。このへんは「民主主義マンガ」に描いてますが…。
伊丹堂: そこで面白いのは「田中大臣をいじめるな」という抗議が殺到するとか、国会中継の視聴率がワイドショー並みに上がってるということの裏側には、単に小泉田中真紀子人気というだけではなくて、たしかにそこには「議論」というものが成り立っているということがあるわけじゃ。
獏迦瀬: たしかにそうです、これまではそういう議論すらなかったわけですからね…って、なんか結局、小泉内閣を支持してるんじゃないですか(笑)。
伊丹堂: いや、まだまだ(笑)、期待を述べておるだけじゃ。なんといっても背景に「自民党的なもの」を温存しているということを忘れてはならんな、これもすでに指摘したことじゃが。「中央公論」六月号で、橋本治がえらく小泉を買っておるが、あそこまで無邪気に言っていいもんかと思うぞ。
獏迦瀬: 自民党内に敵がいる…って民主党がCMやってましたが、あれケッサクですね。
伊丹堂: それすら表面的な問題じゃな。自民党の恐ろしいところは、構造改革すら許容して、なお「権力」にしがみつくことで、微々たるおこぼれのあっせん業者として生き残ろうとする体質にある。
獏迦瀬: 根深いっすね…っていうか、それは「日本人」の体質そのものかもしれませんね。

■控訴せず(01.5.24)

獏迦瀬: ハンセン病訴訟、政府が一転、控訴せずってことで、なんか感動の嵐って感じになりましたね。
伊丹堂: まっ極めて当たり前の判断にすぎんがな。
獏迦瀬: そうですよね。控訴して和解だなんて、単なる官僚側のご都合にすぎませんからね。
伊丹堂: 極めて当たり前の判断じゃが、おそらく森内閣だったら、完全に控訴してたというのが明らかなだけに、小泉が首相になっていたということの意味は大きい。
獏迦瀬: ふふ、ついにシャッポを脱ぎますか(笑)。
伊丹堂: ま、彼は「極めて異例の判断」なんて言っとるからの、まだまだじゃよ(笑)。
獏迦瀬: 負けず嫌いですね〜。まさか伊丹堂さん、元官僚じゃないでしょうね。
伊丹堂: 馬鹿者。しかし今回の判決は、官僚の政策的な「過ち」を裁いたということだけではなくて、官僚及び国会議員の「不作為」(何もしなかったこと)を裁いたという点で、非常に意義深いってことは言っておかねばな。
獏迦瀬: そこですよね。公権力に関わる者はそもそも「倫理的」である義務がある、ということは、常々伊丹堂さんの主張するところです(「オムレットに関する質問コーナー」「倫理21」の書評など)。
伊丹堂: 主張というより、それがコトワリってもんじゃ。倫理とは「〜しなくていいにもかかわらず〜する」というものじゃから、本来「〜しなかったこと」の責任を問われるものではない。しかし、公権力とはそもそも「倫理的」であることを本質とするわけじゃから、当然、論理的に「〜しなかったこと」の責任を問われることになるわけじゃな。公権力においては「本質が存在に先立つ」(笑)わけじゃ。
獏迦瀬: なるほど。そういえばこの前、政府刊行物の売店(一種の書店ですな)に行ったのですが、そこで「公務員倫理マニュアル」とかいうブックレットがあって、オドロキでした。
伊丹堂: それはワシも知っとる(笑)。
獏迦瀬: 「倫理」とうたっておきながら、書いてるなかみは「接待受けちゃダメ」とか「関連業者の範囲はこっからここまで」とか、ようするに倫理以前の最低限のルールにすぎませんよ。これは「道徳」ですらないでしょ。
伊丹堂: 国の金を使ってそんなバカ本作ること自体、犯罪じゃな(笑)。
獏迦瀬: もお我々で「公務員の倫理とは何か」って本作るしかないんじゃないスカ。
伊丹堂: うむ。それが出来たら、小泉に売りつけに行くか。
獏迦瀬: なんか総会屋みたいすね。…

■政府声明について(01.5.25)

獏迦瀬: というところで、ハンセン病控訴断念にあたっての「政府声明」なるものがでました。法的には問題があるなんてことを言うわけですね。
伊丹堂: ふふ、やはりまだまだじゃろ、小泉氏(笑)。
獏迦瀬: 不作為を問題にすると「国会活動が著しく制限される」なんてことを言ってますが。
伊丹堂: ようするに柳美里じゃな。
獏迦瀬: はぁぁ?! どういうコトですか。
伊丹堂: 例のモデル小説問題じゃ。そのモデル小説は出版差し止めになったんじゃが、それに対して柳さんは「表現の自由が制限される」というわけじゃろ。
獏迦瀬: そういえばそんなコトもありましたね…。
伊丹堂: しかし判決が問題にしているのは、表現の自由があるかどうかなんてことではなくて、ある表現が結果として誰かを傷つけたかどうかという問題じゃ。それに対して「表現の自由があるから何してもいいだろ」と言ってるのが柳氏で、そう言うならあらゆる表現活動というのは、結果として何の責任も引き受けなくていいということになるじゃろう。
獏迦瀬: その辺は以前ひるます氏が論評してましたね。…活動の自由が保障されるということと、結果責任がそれに伴うということは、何ら矛盾しないってことですよね。
伊丹堂: 矛盾しないどころか、ウラハラなんじゃね。表現活動というのは、創造的すなわち倫理的な(つまり、そうしなくてもイイにもかかわらず表現する)活動として、自由を保障されなくてはならないが、それはウラハラにその結果としての責任を引き受けるという意味でも倫理的なものなわけじゃ。
獏迦瀬: なるほど…、倫理的な活動としては、小説も政治もある意味では同じ、ということですか…。
伊丹堂: そう「同型」なんじゃね。そこで、今回の政府声明では、「〜しなかったこと」という結果責任を問われているにもかかわらず、国会活動の自由をタテにそれに抗しようという(控訴はしないが)、まさに柳美里の論理と「同型」じゃろ(笑)。つまり創造的=倫理的活動とはなんなのか、というコトがまったく分かっとらんのじゃ。
獏迦瀬: いかにも官僚的な発想法ではありますね。…それにしてもこれは重要な指摘だと思いますが、なかなかマスコミなどの論評では触れられてないですね。
伊丹堂: まあね。なかなかモノが分かってる人間は少ないってコトよ。ひるますのHPにアクセスしてこのコトを知った人は極めて幸運だったと言わねばなるまい(笑)。
獏迦瀬: それが言いたかったんですか(笑)。
伊丹堂: しかしハッキリ言っとくが、これは東浩紀あたりには決して語り得ない発見的観点だということじゃよ。
獏迦瀬: なんスか、いきなり東浩紀って名指しで来ましたね…。
伊丹堂: いや、「中央公論」6月号の斎藤環さんとの対談じゃがね。
獏迦瀬: ああ、データベースがど〜のとかいう…。
伊丹堂: ようするにネットには、思想家や評論家になりそこなったような連中がうようよいて、くだらない批評みたいなものばかり書いてるが、そんな生産性の低いことをするくらいなら、データベースづくりに専念せよっていうんじゃね。
獏迦瀬: そうなんですか(怒)。生産性低くてすいませんって感じですが…、でもデータベースづくりなら生産性が高いっていうんですかね。
伊丹堂: データベースってのは、使われてなんぼじゃろ。結局ネット上の批評家のなりそこないや知識人予備軍の労働力を「データベース」づくりに動員して、それを使って生産的な仕事をするのは、「本当の」知識人や批評家、つまり東氏ということになるんじゃろうな。
獏迦瀬: ひょっとしてそれってデータベースをタダで使いたいってだけの話じゃ…。
伊丹堂: そうなんじゃろ。ハッキリ言って、ネット書評子や批評家というレベルにいる連中は、今後一切、アズマ本については取り上げないってくらいのことをするべきじゃな。ひるますはそうすると言っとる(笑)。
獏迦瀬: …って言うか、それ以前に一度も取り上げてないじゃないすか…。

●ひるますの単行本『オムレット〜心のカガクを探検する』
 http://www.bekkoame.ne.jp/~hirumas/COMIC/digicomi15.html

 発行者:ひるます  (C) HIRUMAS 2001
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